みんなの防人さきもり 2020夏
僕はゲームをやるとき、後衛にまわって援護射撃をする。
後ろからランチャーを撃って、前衛の働きを助ける。
負傷した仲間を助けて、再度攻撃に出るチャンスを増やす。
だから、僕が獲得する金貨の数は少ないけれど、
仲間をレスキューする数とアシスト数はとても多い。
子どものころから、皆が嫌がる仕事を
やりたくなる仕事に変えることは、なぜか得意だった。
くさくて汚い生き物がかりを、奪い合いの仕事に変えた。
夏の研究発表を他の友達は逃げ回っていたけれど、
楽しくするために学級委員だった僕は
2班にわけて発表会にしてみた。
先生が、天才的!とほめてくれた。
発表が終わったあと、学級委員の女の子のおうちに呼ばれた。
古いおうちの、少しコケの匂いのする広い庭だった。
縁側で、彼女のお母さんがイチゴシロップのかき氷を作ってくれた。
青色の水玉のワンピースの女子も足をブラブラさせて
「よかったね」とほほ笑んでくれた。
かき氷のために、僕はいろいろしたわけじゃない。
そうとしか生きられなかったから、
楽しいことを工夫してくらしてきただけだ。
今年の夏は、皆で相談して
クリニックのお盆休みをとびとびにした。
今日は、今週の3日目だ。
皆で頑張って、長期休暇の形にしなくて良かった。
猛暑が続いたけれど、
たくさんの人が訪れて
たくさんの事があった。
緊急手術になった方から、無事終わったおしらせがあった
ずっとお世話を続けた人のご家族からごれんらくをいただいた
2人目を出産後の頭痛の方にお会いした
たまたま東京に帰京された方におあいできた方々・・・
たくさんの良い事にであえた。
実際にお目にかかるひとだけではなく、
遠くの人にも
応援する声が届くように
これからどうしたらよいか、
心の安寧につながるよう
一生懸命コラムも書いた。
先ほど、合格をいただいた。
刺激的な文章だけれどもGOになりそうだ。
応援していただける、その英断に涙が出る。
ある患者さんが、僕らにかかってよかった。
皆さんは私の守護神です、とおっしゃってくださった。
今週は、稼働日が少ないけれども、
何回も何回も同じ言葉をいただいて恐縮した。
僕は、おこがましいとおもった。
空から見守るイメージは全く合わない。
皆と一緒に波をかぶりながら、
波の形を見切って
道筋を案内する現場の一労働者に過ぎない。
だから防人(さきもり)がいいと
おはなしした。
波かぶりだ。
したためた文章も、心を豊かにすることに
役に立つといいと思っている。
みんなの小さな防人になれるといいと思っている。
灯台を守り続ける防人がいいと思っている。
ひとりになってしまった様に思っても、
立派な防人でい続けたいと思う。
後でみんなが、来てくれる。
かき氷を作ってくれる。
笑顔をくれる。
足をバタバタさせて。
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