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今、できることを……
『最後の乗客』を観てきました。
予告動画からはなんとなくストーリー展開が予想でき、きっと感動する話だろうなということもわかるのですが、実際に観てみると、震災の前も後も変わらない日常や人のつながりがあるのだなと気付かされ、自分もスクリーンの中の住人と一緒にいるような気がしました。
* おそらくネタバレにはならないと思いますが、この映画をこれから観に行こうと思っている方は、以下の感想で察しがつくこともあるかもしれないので、ご注意ください。*
東日本大震災をテーマにしているので、大切な人との別れや、実際に自分がそこにいたらどうしていたのだろう?と考えさせられる内容ではあります。
しかし大きな感動を感じて終わるものではなく、今自分が過ごしている当たり前の日常について改めて考えさせられるものでした。
被災者の方々の大変さを思うと、今当たり前に暮らしていることを大切に考えなくては!とか、今の幸せに感謝して穏やかに暮らそうなどと反省しますが、結局日々を暮らすことに一所懸命で、そんな反省はすぐに忘れてしまいます。
被災した方々に比べたら、私は恵まれていて幸せなはずなのに、感謝ができない自分は情けないと自己嫌悪になったり……
でも誰もみな、日々のことで一所懸命なんですよね。
人間だから、それ以上でもそれ以下でもない。
みんな生きている限り、生きていることに一所懸命。
もし唐突に命を奪われたとしたら、そんな日常がおわったことにさえ気づかず、同じような日々を生きようとするのかもしれません。
穏やかな日がずっと続くことなど稀です。
人間関係で一喜一憂したり、自分の運命に悩んだり、昨日は良かったのに今日は最悪!なんてことの繰り返し。
しかしそれこそが充実しているといえるのかもしれません。
夢や希望を抱くのは楽しいけれど、現実とのギャップに落ち込んだり、不安になったり。
何もしなければ何も起こらないのに、何かするとショックな出来事に遭遇して、やらなければ良かったと後悔してみたり。
もし天命を全うしたとしても、最期までそんな日常が続くのでしょう。
自分の生活が一変する
過去の生活を取り戻したくて前に進めない
時間を掛けて新しい生活に馴染んでいく
また変化が訪れる
人が最も恐れるのは、安心していた生活が崩れ去り、親しい人が居なくなることです。
残酷にも、それでも時は回っていく。
けれど感情を持った人間は、そんなにすぐに気持ちを切り替えられるはずはないし、かつて安心していた環境や人間関係を恋しがるのでしょう。
人間だから、強くは無いのだ。
人間だから、全部をわかることは出来ないのだ。自分のことですらわからないのだ。
でも人間だから、それでいいのだ。
そんなメッセージをいただいた気がします。
もしかしたら、明日にでも生活が一変することがあるかもしれません。
それでも今日、今、ココを生きるしかないのだなぁと。
映画を観て、つくづく思いました。