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感情に問いかけることの難しさは「自己一致」に関係している?


キャリアコンサルタントやコーチングの現場で、クライアントの感情に問いかけることは、しばしば重要なステップとされています。感情に焦点を当て、感情に寄り添うことで、クライアントの本質的な問題や価値観が浮かび上がるからです。しかし、この「感情に問いかける」というプロセスが難しいと感じることも少なくありません。なぜ、感情に問いかけることは難しいのでしょうか?その背景には「自己一致」というコンサルタント自身の課題が潜んでいるかもしれません。

感情に問いかける意義とは?


感情に焦点を当てる理由は、単に感情を言葉にすることに留まりません。感情は、クライアントの行動や価値観、さらには深層にある欲求や恐れを表す重要な指標です。例えば、クライアントが「不安を感じている」と言った場合、その不安がどこから来ているのか、何を意味しているのかを探ることで、真の課題やニーズが明確になります。感情に問いかけ、そこから見えてくる価値観を理解することは、クライアント自身が自分の行動や選択をより深く理解し、変化を促すための重要な手がかりとなります。

しかし、感情に対して適切に問いかけ、深掘りするのは簡単ではありません。なぜでしょうか?

自己一致と感情への問いかけ


感情に問いかける難しさの背景にあるのが、自己一致(self-congruence)の問題です。自己一致とは、自分の感情、価値観、信念と行動が一致している状態を指します。クライアントに感情を問いかけるには、コンサルタント自身が自分の感情や価値観に正直であり、自己一致していることが大前提です。もし、コンサルタント自身が自分の感情に向き合えていない場合、クライアントの感情に真摯に向き合うのも難しくなります。

たとえば、私自身も自己一致に自信がないことがあります。現在の仕事や他者との関わりが、本当に自分が望んでいるものなのか、と疑問に感じることがあるからです。40年前の就職活動の際、自分の価値観に基づいて選んだわけではなく、世間の期待や周囲の意見に従って進路を決めた経験が、今もどこか影響しているように感じます。そのため、感情に対して深く問いかけることが、自分にとっても難しいと感じるのかもしれません。

クライアントと一緒に「見る」プロセス


自己一致の欠如が感情への問いかけに影響するもう一つの理由は、クライアントと「同じ景色」を見ることができていないからかもしれません。感情に寄り添うには、コンサルタントがクライアントと同じ視点に立ち、同じ未来を共に描く姿勢が必要です。しかし、クライアントの感情に対する真の興味や関心が欠けていると、表面的な問いかけになってしまうことがあります。クライアントの感情や価値観に共感し、尊重する姿勢がないと、感情に深く問いかけることは難しいのです。

そこで、感情に問いかける際には、その感情がどんな価値観に基づいているのかを探ることが重要です。感情は多くの場合、深く根ざした価値観や信念に支えられています。その価値観をクライアント自身が認識し、それを大切にした行動を取ることで、行動変容や意識の変化が生まれます。

自己一致を追求することが鍵


感情に問いかけることの難しさは、自己一致の欠如に起因することが多いですが、逆に言えば、自己一致を追求することでその難しさを克服できるかもしれません。自己一致とは、コンサルタント自身が自分の感情や価値観に向き合い、正直であることを意味します。それができると、クライアントの感情にも真摯に向き合うことができるようになります。

私自身も、セミナー講師として登壇する際に感じる喜びや満足感が、自分にとっての自己一致の一部であることに気づきました。ポジティブなフィードバックを受け、受講者の満足と成長に貢献できることは、私にとって大きな喜びです。このように、自分自身が感じる「一致した瞬間」を見つけることが、コンサルタントやコーチとしての成長に繋がるのではないかと考えています。

まとめ


感情に問いかけることは、クライアントにとってもコンサルタントにとっても、自己理解を深めるための重要なプロセスです。しかし、その難しさの背景には、自己一致が関係していることが多いです。コンサルタント自身が自己一致を追求し、自分の感情や価値観に向き合うことで、クライアントに対してもより深い問いかけができるようになります。感情への問いかけは、自己一致の探求と共に続けていくプロセスと言えるでしょう。

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