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『カメラは、撮る人を写しているんだ。』:写真が教えてくれる自分自身

「写真を撮る」という行為は、ただ景色や人を記録するだけでなく、撮る人自身を映し出すものです。ワタナベアニさんの著書『カメラは、撮る人を写しているんだ。』は、写真という行為を通じて自分と向き合うことの重要性を教えてくれる一冊でした。

この本は、人生で一度でもシャッターを押したことがある人すべてに向けて書かれており、写真に対する考え方やアプローチを再定義する内容が詰まっています。


1. 写真は技術ではなく「心」を写すもの

うまいのにダメな写真、ヘタなのにいい写真

本書で特に印象に残ったのは、「うまいのにダメな写真」と「ヘタなのにいい写真」という視点です。技術が優れているだけではいい写真とは言えず、そこに何を込めたか、何を伝えたいのかが重要だと著者は語ります。

これは、撮る側の心や思考がそのまま写真に現れるという、タイトルそのものを裏付ける部分です。完璧な構図や設定にこだわるあまり、心が置き去りになってしまう写真よりも、自分の感情や思いが伝わる写真の方が「いい写真」だという考えに深く共感しました。


2. 日本人が「ボケ」を好む理由

なぜ「ボケ」が重要なのか

日本人が写真において「ボケ」を好む理由についての考察も非常に興味深いポイントでした。背景をぼかすことで主題を引き立てる手法は、日本の文化や美意識に通じるものがあると著者は言います。茶室の設計や枯山水など、日本特有の「余白」や「間」を大切にする感覚が写真にも反映されているのだとか。

この視点は、写真だけでなく、日本の美意識そのものを改めて考えさせられるきっかけとなりました。


3. 絶対に撮ってはいけないもの

写真の倫理とオリジナリティ

本書では、写真を撮る際の「倫理」についても触れています。例えば、他人を傷つけるような写真、プライバシーを侵害するような写真は撮ってはいけないというシンプルながらも重要なルール。この部分は、SNSが普及した現代において特に意識すべき内容だと感じました。

また、「写真のオリジナリティとは何か」というテーマでは、誰かの真似をするだけではなく、自分の視点や考えを大切にすることが強調されています。「自分にしか撮れない写真」とは何かを考えさせられる内容でした。


4. 写真と言葉の関係

写真の背景にあるストーリー

本書では、写真と言葉の関係についても興味深い考察があります。写真だけで伝わるものもあれば、言葉を添えることで深みが増すものもあります。たとえば、何気なく撮った一枚でも、背景にあるストーリーや感情を言葉で補足することで、写真がさらに豊かな意味を持つことを著者は示しています。


5. なぜ写真を撮るのか

自分にとっての写真の意味を問い直す

著者は、「あなたはなぜ写真を撮るのか」と問いかけます。記録のためか、表現のためか、それとも楽しみのためか――。その答えは人それぞれですが、この問いを突きつけられることで、写真を撮る意味や目的を深く考えるきっかけになりました。


6. 誰にでも読んでほしい一冊

本書は、初心者からプロまで、すべての写真愛好家に向けて書かれています。特に、以下のような方におすすめです。

  • これから本格的なカメラを始めたい人
    カメラ選びのヒントや撮影の基本がわかりやすく解説されています。

  • 写真を通じて自己表現したい人
    技術だけでなく、自分らしい写真の撮り方を考えるきっかけを与えてくれます。

  • SNS映え写真に疲れた人
    「映える写真」が本当にいい写真かどうか、違う視点から見直すことができます。


まとめ:写真が変われば、自分も変わる

ワタナベアニさんの『カメラは、撮る人を写しているんだ。』は、写真を撮ることが単なる記録や技術ではなく、自分自身と向き合う行為であることを教えてくれる一冊です。写真が変われば自分の視点が変わり、それが人生にも影響を与える。そんなメッセージを受け取ることができました。

写真をもっと楽しみたい、深く考えたいと思うすべての人に、この本をおすすめします。


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