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写真を撮る人視点で読む『うまい絵のリクツ イラスト理論の超基本』

『うまい絵のリクツ イラスト理論の超基本』は、イラスト初心者や中級者に向けて基礎的な理論や技術をわかりやすく解説した本ですが、その内容は写真家にも多くのインスピレーションを与えてくれる一冊です。特に、構図や遠近法、印象効果といったテーマは、絵画やイラストに限らず写真のクオリティ向上にも直結する内容です。


基礎の重要性を再確認させる内容

本書で強調される「基礎の重要性」は、写真家にとっても非常に共感できる部分です。たとえば、「描写の基礎知識」や「用語の整理」といった章では、イラストを描くための基本的な考え方が紹介されていますが、これらは写真の撮影技術にも応用可能です。シャッターを押すだけでなく、構図や被写体の配置を理解することの重要性を再認識させてくれます。


遠近法が生む「奥行き」と「伝わりやすさ」

第2章「遠近法」 では、透視図法や情報の伝わりやすさを優先した遠近法について解説されています。写真撮影でも、広角レンズや望遠レンズの使い方に応じて「奥行き感」をどう生み出すかを考える場面が多く、ここで得られる知識は大いに役立ちます。

たとえば、2点透視図法の説明は、建物や街並みを撮影する際に「どの角度で捉えると最もダイナミックに見えるか」を考える助けになります。また、遠近感を強調することで、被写体が視覚的に「どこに位置しているか」をより分かりやすく伝えるテクニックを学べるのもポイントです。


色彩と光の扱い

第3章「印象と効果」 で取り上げられる「色の印象」や「照明の印象効果」は、写真家にとっても非常に有用な内容です。イラスト制作における配色の考え方は、写真のカラーグレーディングやホワイトバランスの調整に応用できます。たとえば、被写体を引き立てる背景色の選び方や、暖色・寒色のバランスを考える際に、これらの理論が大いに役立ちます。

また、照明の基礎知識や光の使い方に関する章では、写真家がストロボや自然光を活用する際のヒントも得られます。特にポートレート写真でのライティング構成に関しては、この章の理論を直接応用できそうです。


構図と優先順位のつけ方

第4章「絵の組み立て」 で解説される「構図」や「配置の優先順位」は、写真撮影におけるフレーミングや画面構成に直結します。被写体の配置や視線誘導の考え方は、写真家にとっても基本でありながら、常に磨き続けるべきスキルです。本書では、これらの理論が体系的に整理されているため、写真家が「なぜこの構図が効果的なのか」を再確認するのに役立ちます。


写真家視点で得られる学び

  • シルエットの活用
    本書で紹介される「シルエットを意識することで形を捉える」方法は、写真でも非常に有効です。逆光やモノクロ写真での被写体の表現力を高めるヒントとなります。

  • 情報の伝え方
    描き手が「情報の優先順位」を意識して絵を描くように、写真でも「何を伝えたいか」を考えながら撮影する大切さを学べます。

  • 練習の実践法
    イラストの練習法として紹介されるクロッキーやデッサンの考え方は、写真家がスナップ撮影や被写体研究を行う際にも応用可能です。


総評

『うまい絵のリクツ イラスト理論の超基本』は、絵を描く人だけでなく、写真家やクリエイティブな視点を磨きたい人にもおすすめの一冊です。イラスト制作で使われる理論が、写真やデザイン、映像制作など、幅広いビジュアル表現に応用できることを実感させてくれます。読んだ後には、写真の構図や色彩、光の使い方を改めて見直したくなることでしょう。

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