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写真の本質に気づかされる一冊──『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』

写真を「うまく撮る」ことを目指して、構図やカメラ設定にこだわってしまう。それなのに、出来上がった写真がどこか心に響かない──そんな経験はありませんか?
『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』は、「いい写真」とは何かを問いかけ、写真を撮る理由や価値を深く掘り下げる一冊です。本書を通じて感じたことや気づきをご紹介します。


感想:写真の価値観を根底から揺さぶる一冊

この本は、「うまい写真=いい写真」という一般的な価値観を否定しながら、「いい写真」とは何かを探る旅に読者を誘います。著者の幡野広志さんが語る内容は、単なる技術論ではなく、写真そのものが持つ本質や哲学を考えさせられるものでした。


感じた3つのポイント

1. 「いい写真」とは伝わる写真

本書で語られる「いい写真」とは、「伝わる写真」です。構図や色彩の美しさだけでなく、そこに込められた感情や物語が重要だという考え方は、新鮮でありながら深く共感できました。写真は技術的に優れているだけでは意味がなく、見る人の心に何かを残せるかどうかが鍵だと気づかされます。

2. 写真を撮る理由を問い直す

「どうして写真を撮るのか?」という問いは、写真を趣味にしている人にとっても、プロのフォトグラファーにとっても根源的なテーマです。本書では、写真が「感情の記録」であり、時を超えて宝物になるものだと述べられています。この視点を得たことで、これまで何気なく撮っていた写真にも新たな価値を見出せるようになりました。

3. 技術よりも「距離感」と「気持ち」が重要

「光と距離」という章では、撮影者と被写体の適切な距離感が写真の良し悪しに大きく影響することが述べられています。また、撮影者自身の気持ちが写真に反映されるという考え方も、これまで意識していなかった視点でした。写真を撮るとき、物理的な距離感だけでなく、自分の感情や被写体への向き合い方を見直すきっかけとなりました。


写真を撮ることへの新たな視点

1. 「うまい写真」へのこだわりからの解放

本書を読むことで、写真の技術にこだわりすぎることへのプレッシャーから解放されました。うまく撮れなくても、心に響く写真が撮れればそれでいいという考え方は、写真の楽しみ方を大きく変えてくれます。

2. 撮影者の感情が写真に宿る

写真は、撮影者自身の感情や意図が投影されるものだという視点を持つと、写真を撮る行為が一層意味のあるものに感じられます。写真が単なる記録ではなく、表現そのものであることに気づかされました。

3. 写真を宝物に変える視点

「写真はいつか宝物になる」という言葉は非常に印象的でした。普段の何気ない瞬間も、後々の自分や誰かにとってかけがえのない記録になるという考え方が、写真を撮る行為そのものを価値あるものに感じさせます。


読後のまとめ

『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』は、写真初心者だけでなく、写真に長年携わっている人にとっても新たな視点を与えてくれる一冊です。写真の技術やうまさに囚われず、自分が撮りたいもの、伝えたいものを自由に表現する大切さを教えてくれます。写真を撮る理由やその意義を問い直したい方に、ぜひおすすめしたい本です。

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