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行動経済学を学びたい人のためのおすすめ本
TECHPLAY女子部のアドベントカレンダー19日目ということで、行動経済学を学ぶ時におすすめの本を紹介したいと思います。行動経済学というものが何を指しているかわからない方も、ぜひ以下の紹介文を見て気になった本を読んでいただければ。
※読み終わってない本もあるので紹介が不十分なものもあるかと思います、すいません🙇♂️
行動経済学とは
ものすごくざっくり説明します(語弊はあると思う)。
経済学では完璧な人間が常に合理的な判断をするという前提のもとに成り立っています。が、実際の人間は「必要ないのに安いから買ってしまう」「値段が高い方が品質が良い気がして高い方を買った」など、合理的とは言えない判断をすることもあります。そんな人間の経済行動を、経済学と心理学を組み合わせて研究する学問が行動経済学です。
行動経済学を学ぶ意義
エンジニアであってもUX設計や事業戦略に関わっている人はいると思います。どうやったら会社にとって嬉しい形でユーザが動いてくれるか、なぜユーザはそんな行動をしてしまうのか。その原理を少しでも知ることができたら実務にきっと役立つと思います。
また、行動経済学を学ぶことによって「今○○しちゃったけど、それって行動経済学で言う△△に惑わされているだけじゃない?」と自身の行動を省みることもできます。
上記の理由から、すべての人は行動経済学を学ぶ意義があると思います。
これから紹介する本について
段階別におすすめ本を紹介します。どの本にも共通して言えることとしては以下の通りです。
・事例が載っておりイメージがしやすい
・各概念は基本的に独立しているので、興味があるところだけ読んでも良い
まずはかじってみたい人向け
「まずはさらっと学んでみたい」「気軽に読めるものがいい」という人向けに2冊紹介します。どちらか1冊を読めば、行動経済学とはどのようなものかがなんとなくわかると思います。
■ヘンテコノミクス
全ページ漫画で構成されている本で、物理本はハードカバーです。漫画と解説から成る章が全部で23あり、各章、漫画部では出来事の描写、解説部ではその出来事の中に隠れていた行動経済学の概念の説明が書かれています。
おすすめする理由は以下の通りです。最初の取っ掛かりとして良いかと。
・「行動経済学って難しそう」と思う人でも漫画ならすんなり読める
・数時間で読めてしまう
・身近に発生しうる事例が多く、親しみやすい
■マンガでわかる行動経済学
こちらも漫画が使われています。見開きの左側に文章での説明、右側に漫画での説明が書かれています。ちゃんと数えてないんですが70くらいの節に分かれており、事例とそれに当てはまる概念の説明がされています。
おすすめする理由は以下の通りです。こちらも最初の本として適切だと思います。
・先程のヘンテコノミクスと比べると事例数が多い
・1つの概念について複数の事例で説明していることもあり、より納得感がある
もっと学びたい人向け
「ちょっとは行動経済学について知っている」「1つ1つの概念についてもっと詳しく知りたい」という人には以下の本が良いかと思います。先程の「かじってみたい人向け」本だと1つの概念に対して1つしか事例が書かれていないこともありました。が、この章で紹介する本だと1つの事例だけでなく「ではこのようなパターンではどうだろう?」という形でさらに踏み込んだ内容に入っていくこともあり、より理解を深められます。
■経済は感情で動く
至るところに「問い」が書かれており、それを実際に実験してみた結果がどうであったか、どうしてそのような答えを導き出してしまうのかが1つずつ解説されています。所々に「教訓」というまとめセクションが用意されているのも特徴です。
難点としては、たまに日本語が難しいと感じること(翻訳の問題…?)、図があると嬉しいなと思う時に図がないので、少し理解に時間がかかることです。
おすすめする理由は以下の通りです。
・「問い」があることで自分ごととして考えたり、まんまと引っかかってる感を実感することができる
・神経生物学、神経経済学など、他分野と絡めた話が(少しだけど)出てくる
■予想どおりに不合理
実験、結果の分析、自分の生活に役立つようなヒントを各テーマごとに述べています。語りかけるような文体なので、人によっては親しみを持って読めると思います。
Amazonレビューを見ると「冗長」と書いている人もおり、「まあ確かに」と言えなくもないですが、それだけ丁寧に実験や考察を書いているということなので、深く知りたい方、今まで読んだ本で納得できなかった方、論理の突き詰め方を学びたい方には良いかなと思います。
おすすめする理由は以下の通りです。
・1つの概念に対する説明が手厚い
・学生を使ったリアルな実験をしていて興味深い
実世界に役立てたい人向け
単に学ぶだけでなく実際に仕事や生活に役立てるための方法を知りたい人は、応用本として以下の本を読むといいと思います。
■行動を変えるデザイン
行動経済学について詳しく書いた本というわけではなく、行動を変えるデザインを作るために行動経済学を知り、活用するための本です。Kindle版はないようです。
本全体の構成が
・心の働き、行動変容に関しての知識を得る
・行動を変えるデザインの設計方法を知る
・デザインを作る方法を知る
・プロダクトを改善する方法を知る
のようになっているので、読み進めるごとに理解が深まるようになっているかなと思います。
おすすめする理由は以下の通りです。
・プロダクトデザインや開発を行う人を対象として書かれた本であり、エンジニアが読むのに適している
・構成が良くわかりやすい
おまけ
■実践 行動経済学
今まで紹介した本で書かれているような視点、内容ももちろん書かれているのですが、行動経済学的視点からどのような政策を打ったらより良くなるかというもっと大きな話も書かれています。
この本では「ナッジ」(強制、インセンティブに頼らず、人々を賢い選択へ導くちょっとした工夫)、「リバタリアン・パターナリズム」(個人の行動や選択の自由を権力が阻害せず、かつ「より良い結果」に誘導する思想)がキーワードとなり、全体を通して何回も出てきます。
上記のような内容なので、行政や企業の制度設計をする人には勉強になると思いますが、単にプロダクト開発や実生活に活かしたい人にはあまり向かない本かもしれないと思っています。
最後に
今回は6冊を紹介してみました。他にも行動経済学本はあるので、どんどん読んでまた何かの機会に紹介したいと思います。
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