窓に差し込む朝日
思い出を思い出のままにそっとしておきたい。
SNSに触れると、かつての同級生の今の暮らしが垣間見える。楽しそうに飲み歩いている様子、サーフィンを楽しんでいる様子、仕事に追われている状況、指先を画面に触れただけで相手の世界の一部にアクセスできてしまう。
かつて振られたあの人の現在が分かる。当時すごく仲が良かった子の今が分かる。そんなに話したことがなかったあの子も。
みんな私の思い出の中に確かにいて、指先1つで当時からタイムスリップする。
でも本当は、それに触れたくない。
タイムスリップする前の止まった時間のままで、思い出のままでいたい。
今を知って、何かを想うより、当時のぼんやりとだけどなんとなく鮮やかに思えるままで、そんな風に思い出をそっとしておきたい。
フィルムのある窓へ差し込む朝日のようにね。