告白【短編小説#11】
学年1の美人”朝陽”から、”結城”は呼び出された。これは間違いなく告白。結城はニヤつく表情と、思わず叫び出したいところをぐっと堪え、なんとかギリギリのところで平静を保っていた。ここはあくまでも冷静に、「どうした?何かあったかい?」という、中学生なりの大人の余裕を醸し出そうと決めた。
ところが自体は思わぬ方向へ進んでいた。
以下は、学校の屋上での会話である。
結城「え?、、、、、今なんて?」
朝陽「男子って何をされたら1番嫌がるか分かる?」
結城「え?、、、、」
朝陽「男子って何をされたら1番嫌か考えたことある?」
結城「ど、どうしたんだい?急に?びっくりさせないでよ!そ、そんなことより、どうして僕を呼び出したりしたんだよ。言いたいことがあるなら、聞くよ!さぁ、どうぞどうぞ!」
朝陽「言いたいことを言うために、今質問してるの。答えて。」
結城「え。」
朝陽「答えて。男子って何をされたら1番嫌でしょう?」
結城「そ、それは、、、えっと、、。」
朝陽「公衆の前でコケにされることよ。男性にとっては戦いに負けることよりも公衆の前でコケにされる方が屈辱的。なぜだか分かる?」
結城「それは別に男子だけでなく女子も、、、」
朝陽「プライドが高いからよ。じゃあ、プライドの高さは何に起因していると思う?」
結城「、、、、、か・完璧主義とか?」
朝陽「違う。承認欲求よ。男は承認されたいのよ。誰から?女性から?違う。結局、男性から。だから、つば迫り合いをしていて、「おぬしやりおるな」というような一言にゾクゾクして快感を覚えるの。じゃあ、男性が男性に承認される場ってどこにあると思う?」
結城「それは学校とか、、会社とか?」
朝陽「そう。学校とか会社とか組織よ。結局、大半の人が承認されたいから組織に属しているのよ。しかも組織は、組織のために働く人を評価する仕組みになっているから、益々組織のために働く。まるで忠実な犬のように。人や事業のために組織があるのに、気がついたら組織のために人がいるようになってしまうのよ。それで評価されなくなったら、「結局俺は何のために会社にいてたんだ。」って言うの、バカみたいに。」
結城「・・・・」
朝陽「自分に矢印が向いている限り、男性は組織依存を辞めないわ。もしくは、組織というものがなくならない限りね。。」
結城「さっきから男性男性って、女性も依存するだろ!」
朝陽「そう。女性は組織ではなく人に依存するわ。だから尊敬する上司が辞めたり、チームが変わったりすると、働き甲斐が損なわれたりするの。」
結城「じゃあ君も誰かに依存する可能性があるってことじゃないか!!」
朝陽「もうしてるわよ、、、あなたに。」
完
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