スペクタクル(3)
今日はFacebookの方でノリノリで書いてしまったので、とりあえず転載…
【この前マイケル・ムーア監督の『11.9』という映画を見たが、一番印象的だったのが民主党が党大会でバーニー・サンダースを潰したシーンだった。結局トランプの何が悪いのかが分からない。ひたすらヒトラーの映像と重ねるだけで、しかも現実は複雑なので、(トランプとヒトラーが)完全に重なるわけではないという注釈のおまけ付きだ…これは、成功しているのだろうか?…前回の選挙と同様、自称リベラルにとってはトランプ大統領が悪魔そのものに見えるので、ただただトランプの映像を流すことが最大の批判になると思い込んでしまっているのだろうか?…
政治学者が「民主主義の始まりは、女性や黒人に選挙権が行き渡った1970年代だ」と述べているシーンもある。まさに自称リベラルらしい「お利口さん」な見解だが、スペクタクル論で見ればもう1980年代にはスペクタクルが行き渡り、民主主義は「終わった」と考えられる。良い本を書いた者はそれが「売れない」と自己判断して出版を自粛し、社会に馴染めないものは自ら精神病院に入り、活動家はその効果を微塵も信じることなくデモを打ち、人々はそれが無駄だと考えながらマスコミの発表に耳を傾ける。もはや誰が何票持っていようが、どこに投票しようが、支配構造は変わらない。それが政体に関わらず全世界に行き渡ったのが、ドゥボールのいう「統合されたスペクタクル」の時代である。
トランプ大統領が、(意図はどうあれ😅)、せっせとスペクタクルにヒビを入れている。夢の国に住んでいた者たちは不安を覚えるかもしれないが、何ひとつ恐れることはない。ポスト・スペクタクルの時代がいかなるものになるのか僕自身考えあぐねていたが、多分それはもう訪れている。ただネットや現実から情報を得て、騙されながら自分の意見を持てばいいだけだ。誰だって自分が正しい情報に触れている、自分が正しい側に付いている、そう信じたいものだ。しかしそうした「正しさへの執着」こそがスペクタクルが何よりも先に利用し、ポリコレや言論弾圧を生み出して来た原動力そのものに他ならない。マイケル・ムーアの行き詰まりはそのまま、スペクタクルが最早自らを守る言語を持ち合わせていないことをさらけ出してしまっているように見える。
(Facebookが親トランプの投稿を削除してるってニュースも出てたな…これも消されちゃうのかな…😱)】
エコー・チェンバー、つまりネットで情報を得る者たちが、自分にとって心地よい、都合の良い情報にばかり触れるようになり、その結果視野が狭くなっていくことだと考えられている。
しかしそもそも本当だろうか?…ではエコー・チェンバーではない情報への触れ方とは何なのだろうか?…このところネトウヨ活動をしていて(😅)率直に感じたのは、左派の方が明らかに自分たちに都合のよい情報にしか触れていない。にも関わらずエコー・チェンバーを問題視したがるのは左派の方であって、僕としてはスペクタクルが織りなす夢の国がどちらかと言えば左派に都合の良い言説を弄していたために、夢の国に亀裂が入って自分たちの世界観が崩れ駄々をこねているようにしか見えないのだ。
皮肉な話ではある。元々スペクタクルの概念を提示したドゥボールは左派の大物で、「マスメディアはこういう支配の仕方をするから気をつけなよ」という理論だったはずなのに、左派の方が嬉々としてスペクタクルに乗っかり、宣伝部長のような役回りを引き受けて、結果的には自分たちで陥穽に落ちただけではないだろうか。
ネットでエコーチェンバーが形成されるのは確かだが、普通にネットサーフィンをしていれば、違った価値観や別の主張にもチラチラお目にかかるのが普通だし、あとは見る者の知的好奇心次第だろう。右だろうが左だろうが、自分と違う意見を受け付けない心理状態の者は、何を見聞きしても影響を受けないよ。マスコミのフィルターが掛かったスペクタクルの大本営発表よりは、たとえフェイクニュースが氾濫していたとしてもネットの情報の海の方がはるかに好ましいと、個人的には思う。
実際コロナ騒動でも買い占めに走ったりパニックを起こしたのはテレビを見ていた層だったと、これはデータ解析ではっきり出てるしね。
これからディープフェイクとかの精度が上がって来たら、まさにフェイクニュースとの闘いになるだろう。そうなったら僕だってコロコロ騙される自信がある😤…😂…でもそんな時に最終的に何を基準にして物事を判断するのかと言ったら、逆に自分が「現実」だと考えているものや、大きな視点で見て「正しい」と考えているものこそが力を持ち、それはかえって健全な状態なのではないだろうか?
もっと身近なスペクタクルの実例も出せたらいいですね…🤔…またこんな話題でも書きます…
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