知財①_職務発明まとめ
0.はじめに
職務発明に関して網羅的にまとめたものがなかったので、大まかにまとめてみました。(適宜、加筆・修正を加えていきます。)
特に、技術系のスタートアップの方は参考になると思います。
1.職務発明規程の作成
職務発明規程については、弁理士・公認会計士の安高先生がまとめています。
とてもよくできているいるので、ひな形にしてカスタマイズして使用してください。
個人的には、8条の報奨金の対象から役員は除外したほうがよいと考えています。役員は、役員報酬(金員)、株式、ストックオプションを中心に報酬体系を議論するほうがよいかな。
2.職務発明規程の従業員への説明
規程が完成したら、従業員の説明会を開催しましょう。
報奨金に関する会社の思いを伝えることは重要です。
絵に描いた餅にならないように。
3.職務発明に関する人事面
職務発明を人事評価に反映させましょう。
報奨金を固定額にする場合には、昇給や昇進をセットに考えることも重要です。その他、就業規則に表彰制度を設けててもよいかもしれません。
4.職務発明に関する会計・税務面
(ポイント1)従業員に報奨金の取り扱いを説明しましょう!
(ポイント2)会社の会計・税務処理を把握しましょう!
※モデル規程に基づき、会社(使用者)が原始取得が前提
(1)従業員の税制
給与と合算して所得税課税(雑所得)
詳細の確認は、タックスアンサーNo.2592
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2592.htm
給料制であれば、報奨金が20万円以下の場合、所得税の確定申告不要。
ただし、住民税の申告は必要。
住民税の申告については、下記参照(↓千代田区を例示)
https://www.city.chiyoda.lg.jp/documents/4719/tokubetsuku-r3.pdf
<注意1>源泉徴収されないので、税金を払うお金を残しておくこと。
(2)使用者(会社)側の税制
個人的には、下記の会計処理で整理している。
(ⅰ)従業員
給与や福利厚生費として、費用計上・損金算入可
<注意1>勘定科目は、最初に決めたら動かさない!
<注意2>源泉徴収しない!
(ⅱ)役員
損金算入不可
∵基本的には、役員賞与に該当し、損金算入不可
この意味でも役員は報奨金規程から除外すべき。
【補足】2021.11.21追記
報奨金の額を減価償却資産として計上し、耐用年数表に応じて、減価償却するとの文書回答事例もある。
資産計上・減価償却の処理を選択すると、特許に要した費用の集計・減価償却開始のタイミング・除却時の処理が煩雑になるおそれあり。
ただし、上記の役員の損金不算入問題は解決する。特に、中小企業として、少額減価償却資産(30万円未満)該当する場合には、一括費用計上のおまけつき。
文書回答事例によると、以下参照。https://www.nta.go.jp/about/organization/nagoya/bunshokaito/shotoku/170206/besshi.htm
最終的には、どこに手間をかけるのかという問題になりそうです。
技術系のスタートアップの参考になれば、幸いです。