まとめさせるな。詳しく書かせよ。
国語の授業で、教科書なんかに載っている文章をまとめさせる。
それはそれで意義のあることなのだろう。
しかし、それだけで良いのか? 〝まとめる〟というのは、もとの文章を粗雑に書き改めることである。ある意味、非常に怠惰な頭の使い方である。
まあ、一般に国語の授業が文章をまとめる方向に走るのは、ある意味仕方がない面もある。〝テスト範囲〟について、一通り言及する必要があるとなると、いきおい〝まとめる〟方向に傾くことになる。
ただ、文章の理解というのは、必ずしも
全体を大ざっぱに把握する
↓
細部の詳細な理解に至る
という方向でのみ為されるものではなかろう。
細部を詳しくしつこく追求する中で、全体が見えてくる、ということがむしろ多いのである。
また、細部を詳しくしつこく追求したにもかかわらず、全体が把握できていない、ということがもしあったとしたら、それはそれで仕方がないことなのである。そういう状態の生徒に、外から粗雑な要約だけを与えても、それは文章を読んだことにならない。
気になる箇所について、詳しく書かせれば良い。もとの文章を、自分の頭に合うようにカスタマイズさせればよい。
詳しく述べようとする中で、(その行為自体は文章の部分にかかわるものだとしても、)ふつうは全体も会得される。
それで良いではないか。