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「泣きそうな顔で謝って。」

高校生の頃アルバイトを始めた。
しかし、発達障害の影響で、毎日のようにミスをしまくった。

あまりにもミスをしまくり、怒られるので、しまいには、おかしい気持ちになり、笑いながら謝った。
または「なぜこんな小さなことで怒られなきゃいけない?」と怒りが湧いてきて、ムッとした表情をしたりしていた。
今考えると、自分は若かったといえど、ひどい過ちだよなと思う。
だって、お金をいただいているのに、それはないだろと思う。

そうしたら、店長にこう言われた。

「泣きそうな顔で謝って!!」

その時も若気の至りで「うーん、ひどい」と思っていたが、その言葉が発達障害の自分にとって、大きな運命を変えるきっかけになるなんて。その時は、思いもしなかった。

のちに、発達障害の人などのための病院のプログラム、SSTを受ける。
そこで、悪いことをしたら申し訳なさそうな、泣きそうな顔で謝る、というのを教えてもらうことがあった。
その時、店長に言われた言葉を思い出した。

発達障害じゃない人は、そういうのが当たり前にできるのかもしれない。
もちろん発達障害は関係ないかもしれないが、
少なくとも、わたしは、特性上、そういうのが身に付いてなかったんだと、その時初めて自覚した。
そして店長の言葉を実践しようと心に誓った。

それ以来、何か悪いことをした時、ミスをした時、それから人の誘いを断る時も、泣きそうな顔で謝ってみた。
するとどうだろう。

今までにっちもさっちも行かなかった、ひどい人間関係の泥沼にハマっていたが、徐々に「〇〇ちゃんと話したい」と言ってくれる人が増えてきた。
また職場でも人といい関係を築けるようになってきた。

また、泣きそうな顔で謝る、だけでなく、嬉しい時は言葉や表情で「嬉しい」と表現したりするのもいいと気づいてきた。

どんどんどんどん人間関係と職場の周囲の視線が良くなってきた。

その女性店長はわたしのアルバイト最後の日に、花束とメッセージをくれた。
そのメッセージには
「あなたのことが人間として大好きでした」
と書いてあった。

当時の高校生時代から10年経った今でもなんでミスだらけのわたしにそんなことを書いてくれたのか、全くもってわけがわからない。
だけれど、わたしも店長のことを人間として感謝している。

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TANOSHIKA 𝕡𝕚𝕒𝕤𝕦
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