尊敬する上司は若さ至上主義のおぢさんだった
結局若さは正義だよ
年齢関係ないって言ってもそんなことないよ
俺同世代のババアのこと好きになれないもん
気持ち悪い
気持ち悪い
尊敬する上司
10社以上経験して、たくさんの実績を作って、うちの会社の社長がヘッドハンティングしてやってきた尊敬する上司
その彼の口から出た、女性への偏見
彼は50歳。結婚はしていない。
仕事には厳しい人だけど、誰よりも働いて結果を出していた。みんなは厳しすぎる嫌なやつだって言うけど、わたしはあなたのさりげない気遣いや優しさ、ちゃんと知ってますよ。自分だけは彼の良さに気づいているつもりだった。密かに憧れていた。
だから、個人的に食事に行く機会があった時はすごく嬉しかった。憧れの人とお話しできる、と。
冒頭の言葉を彼の口から聞いたのは、何回目かの食事中だった。その日はじめて、結婚観や相手への理想を聞いてみた。今思えば聞かなければよかった。
年齢と共に女性としてのリミットは確実に近づいてるよ
仕事バリバリするような女性は、もう一人で生きていってくださいって感じかな笑
28歳のわたしにとって、アラサー・結婚・出産という言葉を嫌でも意識してしまうわたしにとって、彼の、女性は結局年齢だという価値観は受け入れがたいものだった。間違っているとも思った。でも、実際問題、高齢の女性ほど婚活が厳しいことは知識として知っていた。
その日からも折に触れて彼の偏見を聞くことがあった。その度に1滴ずつ心に毒を落とされていくようだった。
そうじゃない、人は年齢じゃない、あの人の価値観に過ぎない、何度もそう自分に言い聞かせた。だけど、少しずつ滴下された毒は確実にわたしの心を蝕んだ。
上司に評価されたくて仕事に取り組んできたけど、行き遅れとか思われてるのかな。女性なのにあんなに仕事がんばっちゃってとか、笑われてるのかな。新人さんが入ってきたら、わたしはアラサーとかお局とか後ろ指を刺されるのかな。
一度でも懐に入れた人間には、どんなにひどいことを言われようと、どんなにその人の価値観が受け入れがたくても、すぐに嫌いになれない。
権威のある人の言葉はつい一理あるかと飲み込んでしまう。
なかなか治せないわたしの欠点。
自分じゃない誰かの価値観に心を殺されたくなんかない。
心を強く持ちたい。