自分の中で決着をつけるという話

久しぶりに漫画を一気読みした。去年の就活中に一気読みした「タッチ」ぶりだ。と言っても、今回は3巻完結ものであったからすぐに読み切れたのだけど。

私は漫画が好きな方だと思う。でも、漫画好きと公言できる自信はない。一つの作品を何度も繰り返して読むことが好きなだけだ。多くの漫画の知識を持っているわけじゃないし、記憶力もいい方ではないから何が何巻に描いてあるとか台詞を一字一句正確に言えるだとかそういうことはできない。

ふと思い出した時に手元にある大好きな漫画作品を読み返す。そうすると、初見当時とは違う感想を抱いたり、気づかなかったことに気づくことができたりするのだ。面白い作品にはそういう要素がたくさん詰まっている。だから何度読み返しても面白い。

ただ、こういう漫画の読み方をするのは現実的な問題も影響している。シンプルにお金に限りがあるからだ。私の全てを漫画に注ぎ込めるわけではないから、読みたいと思う漫画にしかお金を使うことができない。

それでよく、読みたいと思う漫画に出会う為ネットで漫画の無料試し読みにお世話になる。それが読者として良い行為と言えるのかは分からないけれど、試し読みをして続きを読みたいと思ったら購入するようにしている。

ただ、その時だけに読みたいと思ったものは除く。時間を置いてみて、漫画から離れた時に「そういえばあの漫画読みたかったな」と再び思える漫画を購入する。

それが今回一気読みした漫画だ。(3巻完結という短さも良かった)

かれこれ数年前に試し読みしていたもので、実際、存在自体忘れていたのだが当時試し読みで強く印象残っていた台詞だけメモに残していた。

漫画のタイトルは記憶から抜け落ちていたので、何とかその台詞から検索して見つけ出した。


「どうにもこうにも」(著者・日下直子)

確かweb記事かなんかで取り上げられていて、それを見て試し読みしたくなったのだと思う。

別にここで漫画の紹介をするつもりはないので、もしこれを読んでいる人がいて気になったら、それこそ試し読みしてみてほしい。

温かい手で読者の背中を押してくれているような作品だと思う。何が良いって作中に出てくる台詞なのだけど、それを発する登場人物たちもとても魅力的である。

私が良いなと思った台詞を一つだけ、ここに書いておこう。

「なぜかしら なぜ自分の可能性を人にゆだねてしまうのかしら」

他者からの評価で自分を測る癖のある人間には突き刺さる台詞、言葉なんじゃないかと思う。

この台詞に反応するコマはなく、プツリと場面転換したのも相まって印象に残った。

この台詞以外にもいいなと思うものは多いので、それは是非本作を読んで欲しい。


この漫画から私は、夢は叶うもの叶わないものじゃなくて自分の満足のいく結論を導き出すものなんじゃないかと思った。

他者から見える結果は付随物に過ぎず、自分の中でこれで満足とかこれで十分だと思える領域に到達することこそが価値あるもので、それは他者から見えないのだから評価もされようがないものなのだ。

その領域に一度でも到達できた人は本当に強い人だと思うし、どうにかこうにかそういう人になりたいと心から思う。