The destination
The destination
「Lailailailailai~~~~。」
音楽をかける。
パソコンのアプリに取り込んだ音楽。
ピアノの音があたたかい。
ララライとだけ歌声が響く。
瞳を閉じれば、瞼の下には、
いつか戻るであろう故郷の風景。
今朝は春だというのに、まだ寒かった。
肩からショールを羽織る。
冬用の厚手のショールだから、そろそろクリーニングにだそうとおもっていたけど、
まだしまってなくて、よかったな。
昨日、友達と電話で話した。
内容はなんてことなくて、
何を食べた?とか、最近何の本読んだ?
とかそういったどうでもいいことだけど、
なんかあたたかいものが体の中を巡っていく感じがした。
誰かと一緒にいることは、そんなに悪くないな。と思った。
人生は一つのながい旅だと思っている。
わたしは電車に乗っていて、仕事をしたり、恋人と会ったり、食事をしたりする。
どこへ行くかも知らないし、いつ到着するかもわからない。
毎日そっと光に満ちた電車に乗って、
誰かが乗っては降りていくこの電車のこのシートに座って窓の外を見ている。
そうしたら、いつのまにか、終着駅に向かっているのだろう。
ララライの歌は、まだ続く。
終着駅に向かって走る電車の線路もまだ続く。
私が今大事にしているのはこの目の前の窓の外の景色であって、
でも時々それは故郷の風景に似ていることに気づく。
もしかしたらわたしはすでに自分の終着駅を知っているのかもしれない。