多分、青い空
その日私は遅くなってしまった昼食をとるべく、
会社近くの公園で昼休みを過ごしていた。
対してやりがいがあるわけでもなく、
かといって不真面目に勤務するわけでもなく、
中途半端にこの仕事を続けてて、
で、特に希望も昇進もないまま、
こうやってなんとなく過ぎていく日々。
「こんなはずじゃなかったんだけどなぁ~。」
何度この公園でため息をついただろう。
本当は都会のオフィス街にて
小ぎれいな通勤着を着て、
かわいいお弁当箱をもって、
和やかに同僚とランチをしているOLになっていたはずだった。
OLってとこはあってたんだけど
私はこうして地元の会社で、お客様案内係として
じっみ~~~~な黒いベストの制服をきて、
胸にボールペンを差して、
めちゃくちゃダサい会社支給のスカーフを首に巻いて、
コンビニで買った春雨スープとおにぎりを食べている。
新作の厳選!こだわり卵のうま味中華チャーハンおにぎりにすればよかったかな。
明日はそっちを買おうかな。
でも明日になんなきゃおにぎりの気分かどうかわかんないしな。
なんて思いながら、ちょっとぬるくなってしまった春雨スープを一口飲む。
ほんとはデザインの勉強だってしたいし、
友達と休みの日に遊びたい。
サービス業ゆえ不定休で、しかも急に休日出勤があったりするから
なんとなく相手に申し訳なくて、
気軽に遊びに行こうよ。みたいなラインもできなくなってしまっていた。
さっきも知り合いの先輩から「忙しいとは思うけど、一応誘ってみた」
と一言断りがあってからお茶のお誘いが来ていた。
テンプレート通り「お誘いうれしいのですが、その日は仕事です。」
という返信をしておいた。
一番もやもやしているのは自分。
でもこの気持ちをどこにぶつけていいかわからなくなっている。
毎日会社にいって働くことで精一杯。
効率悪く、わざわざ仕事を倍の量に増やしてくれる上司の後始末と
愚痴ばかりの自分の心。
だからといって、思い切って仕事を辞める勇気すらわたしはない。
こんな風にグズグズしているのが一番イヤ。
あ、やばっ。
そう思った時にはもう涙がポロって出てて、
「やっばっ、メイクなおさなきゃ。」
って思って慌ててハンカチをカバンから出す。
この思い、
風に乗って
どこまでも軽くなれたら、いいのに。
そんなこと思いながら顔を見上げれば、
空はどこまでも続く青空だった。
もちろん今すぐ仕事辞めます。とかそんなことはできないけど、
でも午後は少しだけ力を抜いて仕事してみよう。と自分を許した。
きっと、青い空。
午後も明日も、明後日も。