ワッチャプリマジ! 第46話「貴女に捧げる…『愛しています』」感想・考察
今回はあまねのヘブンズコーデ覚醒回。
翠子とあまね、母と子の関係と、プリマジで描かれる家族について見ていきます。
貴女に捧げる…『愛しています』
まずは今回のサブタイトルでもある『愛しています』について見ていきましょう。
「貴女に捧げる…『愛しています』」というサブタイトルにも関わらず今回は一度も”愛しています”という言葉は出てきません。
プリマジ後の定番となっていた「わたしはあなたを愛しています」というセリフも今回はありませんでした。
では、今回の物語における”愛しています”を表す言葉が何かというとそれはやはり「ありがとう」でしょう。
この言葉にあるように、「愛しています」とは、つまり相手に想いを届けることなのではないでしょうか。
であれば、あまねから翠子への「ありがとう」はもちろん、道人から阿智彦への「すまなかった」も大切な人に想いを届ける”愛”の告白なのではないでしょうか。
(愛情も友情も同じ、裏方もみんなプリマジスタという今回の物語はプリパラと近いものがあります)
「愛しています」という言葉そのものではなく、自分の本当の想いを大切な人に伝えることこそ「愛している」ということなのだと、そんな風に感じました。
黄金の林檎
あまねのプリマジに登場した黄金の林檎について考えてみます。
林檎は一般的に、アダムとイブのエデンの園の物語から知恵の果実とされ愛や欲望のメタファーとして使われます。
今回の黄金の林檎はしずく=水と関連付いていることからも、特に母親(翠子)からの愛を表しているように見受けられます。
また黄金の林檎はギリシャ神話では、不和の林檎ともいわれ、争いの種になるとされています。
ゴールドであるジェニファーを中心に争いが生まれていたことからも、この点はプリマジと一致します。
また、精神的な意味合いでとらえるならば、
母親の愛情は夢の世界を与える一方で、夢と現実という一見すると矛盾した世界を生みだしてしまい、精神的な不和をもたらすとも考えることができます。
あまねの物語はこの母親(翠子)から与えられた愛によって生まれた背反する矛盾をどのように受け入れていくかということが一つのテーマとしてあったように感じます。
これは、母親から与えられる愛の全てを肯定しその身で受けよう、といったような意味合いでしょうか。
苦しみの原因である母親の愛を肯定する。
翠子の与えた愛は、確かにあまねを苦しめる原因でもありました。しかし、その苦しみはあまねの世界を広げ、弱さを認めお互いに支え合うことのできる弥生ひなというパートナーと出会わせてくれました。
前回のあうるの孤独が未来を創ったというのと少し似ていますね。
禅問答では、矛盾する問いかけをすることで困難を与えそれを乗り越えさせることで悟りに導きます。
母親の愛もこの禅問答と似ていて、愛による夢の世界が苦しみを与えることで世界を広げさせます。
獅子が子を千尋の谷に落とすかのように、子の生命力を信じ花を咲かせることを願い儚い夢の世界を与える。
それはもうそれそのものが愛であり、母親が自分の元を離れ夢が覚めてしまったとしても、決して覚めることのない愛なのではないでしょうか。
これは皇あまねのプリマジも同じで、「The Secret Garden」は視聴者を夢の世界へ誘いますが、それは視聴者のマジを信じ困難に負けず美しい花を咲かせて欲しいと願いであり、それこそが皇あまねのあふれ出す水のような愛なのではないでしょうか。
家族の再生
皇あまねの巣立ちが描かれる一方で同時に御芽河家の再生も描かれました。
翠子とあまねの関係が母と子に等しいことからも、今回のもう一つ重要なテーマに”家族の再生”があったのではないかと思われます。
そして、今回描かれた家族はもう一つあります、人間界と魔法界もまた単なるビジネスパートナーを超えた家族として表現されているように感じます。
ジェニファーにとって阿智彦は父親のような存在、フェスリダもジェニファーの姿を憂う姿を見せており、ある意味では家族に近い関係性とも見ることができるでしょう。
フェスリダのこの言葉も言わば”お互い様"の関係であり、それはビジネスパートナーというより村や家族型のコミュニティーと近いものがあります。
今回で5人のエレメンツのヘブンズ化が終わったわけですが、この5人の
マジに触れて周囲の人々の関わり方変わり行きついたのがこの人間界と魔法界の和解です。
ひなやみるきやあうるのマジに触れて変わった道人や祈瑠が阿智彦の心を開きましたし、
フェスリダのやや唐突な心変わりもれもんに焚きつけられて奇跡とまで言ってしまったヘブンズ化を全員が成し遂げたのですから当然です。
そういったマジが繋がって家族が再生していくというのが、今回の物語のもう一つ重要なポイントなのでしょう。
人間界と魔法界がともに手をつないだそれは、言うなればプリマジファミリー。残るはジェニファーただ一人。
御芽河家の再生や魔法界と人間界の関係性の修復はプリマジという大きなファミリーにつながるための前段階なのではないでしょうか。
ジェニファーは「wonder jwel」を歌うことで”familly here”家族を思い出し孤独をいやしていました。
ヘブンズ化を通して成長したプリマジスタや周囲の人々がジェニファーにとっての家族のような存在となれば、ジェニファーの孤独からくる苦しみを癒し救い出すことができるのではないでしょうか。