ずっと勘違いしていたこと
皆さんは「ずっと勘違いしていたこと」ありませんか?
例えば、
「うさぎ追いし かの山」は
「うさぎ美味し かの山」だと思っていたとか。
「どんぐりころころ どんぐりこ~♪」
と歌っていたとか。(正解は「どんぶりこ~♪」)
「台風一過」を
「台風一家」だと思っていたとか。(どんな一家だ 笑)
私がずっと勘違いしていたこと。
今思えば、かなりヘンテコな勘違いです(苦笑)。
父はプロ野球が大好きでした。
完全無欠の巨人ファン。
子供の頃、シーズン中のテレビチャンネルは100%野球中継。いくら「ドリフ」が観たいと言ってもダメ。仕方なく、私も父と一緒に野球中継を観ていました。
熱血漢の父は試合の動きに反応し、テーブルを叩き、声を上げます。
「よーし! 次は長嶋が2ランホームランだ!」
「バッカ野郎! 何エラーしてんだよ!」
勝てばホクホク、負ければ・・・((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
巨人が負けそうな展開になると、私は試合が終わる前にそーっと自分の部屋に退散。父の不機嫌のとばっちりを受けないためです。
こうして毎日のようにプロ野球の試合を観ていたせいか、私も野球が好きになりました。
高校時代、吹奏楽部でクラリネットを担当する傍ら、自らソフトボール部を立ち上げ、1年生ながらキャプテンとしてグラウンドで汗を流しました。
野球ではありませんが、当時のソフトボールは「女性版の野球」という位置付けだったと思います。
プロ野球中継を観ながら、父は実況や解説もやります。
「次はバントか?」
「お、一塁走者、盗塁狙うぞ」
「ここはスクイズだな」
そんな父の実況を横で聞きながら、私は少しずつ野球用語とルールを覚えていきました。
「ファール!」
打者の打った球が3塁線の外側に転がっていきます。
(これがファールって言うのか)
私の野球用語辞典に、ひとつ単語が追加されます。
「お? ホームランか? 入るか? ああ~ハールだ」
(ハール。さっきのファールと似ているけど、明らかに言い方が違う)
私の野球用語辞典の「ファール」のすぐ前に、「ハール」という新しい野球用語が記載されました。
さて。
私は考えます。
「ファール」と「ハール」の違いは何か?
父の発言に耳を澄ませ、懸命に聞き分けます。
父「またファールか」
(今のはファール。1塁の人が転がる球を取りに行った)
父「おおー、ハールで粘るなあ! いいぞいいぞ」
(今のはハール。高く飛んで球が客席に入った)
そうか、わかったぞ。
私はようやく気づきました。
「ファール」はラインの外に転がっていく球、
「ハール」は高く飛んで客席に入る球なのだと。
この気づきは私の脳内で完璧な整合性を生み出しました。以来、その違いを自分の目でしっかり判断できるようになったのです。
「あ、今のはファールだよね? パパ」
「そうだ、ファールだ」
「あ、これはハールだよね? パパ」
「そうだ、ハールだ」
完璧、パーフェクトです。
小学生で「ファール」と「ハール」の違いを完璧に習得した私。高校生になり、ソフトボール部のキャプテンとして部員たちにこの違いを説明しました。
部員たち「・・・・・・は?」
私「だからね、ファールは下に転がるやつで、ハールは客席」
部員たち「・・・・・・え?」
私「んもう、ワカランチンだなー! あ、そうか。ソフトだと客席後ろにないしね! わかんないよね! あはは!」
キャプテンに口ごたえしない従順な部員たちは、顔じゅうに「?マーク」を作っていました。
真実を知ったのは、高校を卒業してしばらく経ってからのこと。この勘違い話に大笑いした相方さん。今でもニヤニヤしながら私に尋ねてきます。
「ねえ、Akariちゃん。今のはファール? それともハール?」
黙って首を絞めてやるしかありません。(笑)
皆さんも、ずっと勘違いしていたこと、ありませんか?
FIN