無人販売やってみた!
北関東の田舎に住む私の家の近所には、野菜の無人販売所がたくさんある。無人販売所と言っても、農家さんや家庭菜園をしているおばちゃんが、自宅の前に小さな台を置いている小さなお店だ。
各販売所によって、トマトが美味しいところ、ブルーベリーが安く手に入るところ、お漬物にして売っているところなど、それぞれ特徴があって面白い。昔からお店屋さんがしたかった私。いつか、「手仕事カフェ」をしてみたいという夢は、今も心の中に大事に育てているが、その第一歩として、野菜を売っているおばちゃんたちみたいに、無人販売所をしてみるのはどうだろうかと思いついた。
幸い、我が家の駐車場は、大きな道路からは少し入っているが、犬の散歩をする人やスーパーに近道をする近所の人たちが通って、無人販売をするには最適な場所である。
そして、うちにはまだまだ使えるけど不要な物がいっぱいある。売上が少しでも出たら、退職後お小遣いが減ってしまった分を取り戻せるかもしれない。要らない物は整理できて、わずかでもお金を得ることができる!一石二鳥。
「無人販売をするぞ!」と決めてから、頭の中は無人販売のことばかり。今までぼっーと見ていた野菜のおばちゃんのお店も、陳列台や料金箱、貼ってあるちらしにも工夫を感じられるようになった。
8月中に一回目の無人販売をすることを決めて、準備を始めた。
<準備すること> ①陳列台をどうするか ②料金箱をどうするか ③何を売るか ④ちらしなどの飾り付けはどうするか
①陳列台作り うちにはちょうどいい机がない。ただ物置に使っていない炬燵の天板があった。これを陳列台の台にすることにした。近くのホームセンターで、2×4のSPF材を買って、4本分の足にカットしてもらった。天板に取り付ける金具も買った。
天板に金具を取り付け、金具に板を木ねじでとりつけて陳列台ができた!
②料金箱作り おばちゃんたちのお店を見てみると、木で箱を作って陳列台の柱に料金箱を打ち付け、蝶番に鍵をつけて取り出せるようにしている。木工教室に通い始めてまだ2か月の私には、とても作れそうにない。
家の中を探していると、木工好きだった亡き父が作った「ホットボンド」と書かれた木の箱が出てきた。これにお金をいれる穴を開け、蝶番をつけて鍵を付ければできそうだ。
またまたホームセンターに行って、蝶番、鍵を買ってきた。
箱に蝶番をそのままつけられないことがわかって、残っていた木を貼りつけて取り付けた。
つぎはぎだらけのカッコ悪い料金箱だが、箱ごと持っていかれることは防げそうだ。
③売る物準備
無人販売なので、あまり高価な物は置けない。秋になったら、ブルーシートを広げてある程度の値段を付けられそうな物を売る(有人の)ガレージセールをしたいと思っているので、今回は200円までの物にした。
家の中に残っていたマグカップや、子ども達が小さい時に買って使わないまま置いていたポーチや飾り物、読まなくなった本。
うちの前の道は、犬の散歩をする人が多いので、犬好きの人のために、新品の犬のリード(定価1700円)や犬をテーマにした本も置いてみた。
並べてみると、品物が少なくてさみしいので、サイズが合わなくなった靴も2足加えた(靴だけは500円にした)
④飾り付け
ちょうどガレージに置いているロッカーの前に陳列台を置くことにしていたので、「小さなガレージセール」と張り紙を作った。
準備終了!
陳列台や料金箱を作るのに購入した材料費分だけでも売れたらいいな… 久しぶりにドキドキしながら眠りについた。
そして当日…
楽しみすぎて4時半に目が覚めてしまった。
予定通り、7時から準備を始めた。陳列台を運んで、品物を並べていると、犬の散歩中の女性が手にとって見ている!
お客様だー!「お金持っていないから、また夕方来るね」と言って帰っていかれた。そうか、犬の散歩の人は財布をもっていないんだ。朝の散歩で見た人が、夕方お財布を持ってきてくれるかも!大急ぎで貼り紙を作り、「15時閉店」と書いていたのを「17時半閉店」と変更した。
無情の雨が…
朝は快晴だったのに、時間が経つごとに雲が広がってきた。一日中降ったりやんだり。雨が降るたびに品物にシートをかけ、止むとまたシートをはずすということを3~4回繰り返した。雨のせいで、普段よりも人通りも少ない。
閉店…本日の売り上げ!
18時まで延長して品物を片付けた。品物は減っていない感じだが、料金箱をゆするとお金の音が…。150円入っていた!
売れたのはサンマのかば焼きの缶詰2つと水切り袋1つ(笑)。生活で使うものが売れるんだな。
人通りがあまりにも少なかったので、何も売れないかもと思っていたので、150円でも売り上げがあってうれしかった。夫も「ほんまに売れるんや。びっくり」と言って、「次回は俺も、育てている鈴虫やめだかを売ろうかな」「思い切って物置ロッカーの中を全部片づけて、そこで販売したら」と一緒に妄想し始めた。
材料費3277円。売上150円。3127円の赤字である。
しかし、無人販売をしようと決めてからの日々は、色んなアイデアが湧いてきて、毎日があっという間に過ぎていった。
こんなに楽しい気持ちになったのは久しぶりだった。
1回やってみて、売り方や品物の選び方などもまだまだ工夫が必要だと思った。お金を儲けるようになるまでには、まだ少しかかるかもしれないが、こんな楽しいことをこれからもしばらく続けてみたい。
あー楽しかった。
追記。
調子にのって、一週間後に2回目をした。今回は前日にロッカーに貼り紙で告知をした。雨が降っても大丈夫なように一つ一つラッピングもした。値段も分かり易いように、色分けした値札を作って張り付けた。
2回目は台風が関東にやってくる前日だったのにも関わらず、雨は降らなかった。朝から風がかなり吹いていたので、洗濯ばさみやひもで押さえたが、午後になると予想を上回る風が吹き、品物の多くが道路を隔てた前のお家にまで飛んでいってしまった。
ご近所に迷惑をかけるわけにはいかない。残念ながら、予定より3時間早く切り上げて店じまいした。
今回は、なんと560円の売り上げ。品物は500円分なくなっていた。60円は寄付?おまけして誰かが入れてくれたのか。
人通りの少ない場所で、ひっそり開店しているこの店を誰かが見てくれているような気がして、心があったかくなった。
無人販売…くせになりそうです!!