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花火

私の周りは着実に変化している
毎日通った建物がなくなる
車ばかりが通る道路
駐車場の広いコンビニがあそこにもここにも
同級生が子をもつ
親は歳がいく
小さい頃可愛がってくれたおじいちゃん、おばあちゃんたちがいなくなる
夢を持っていた人がそれを叶える

いつの間にか
君はもういない
昨日の私もいない
さっきの私ももういない

私は取り残されている

そしてまた一つ
小さい頃から毎年家族と一緒に見ていた花火大会がなくなった


一瞬の花火が上がるたび忘れないように瞳に焼き付ける
同じように見ていた去年の夏を思い出す
同じ時間、同じ場所、同じ人たち、同じシチュエーションがそうさせる
それは、変わらなかったこと
嫌いな自分が変わっていないことも痛感させられる
それは、変わらなければならなかったこと

過去を想った後は未来
来年の今頃はどうしているだろう
今より成長できているように頑張ろうと密かに花火に誓う
そしてできれば隣には誰かいて一緒に感動したい
二人の過去と未来ができればいい
闇なんか恐れない強い人間になりたい……


そんなことは私には遠い夢だった
もう何度繰り返している?
私が変わることのないまま花火大会がなくなってしまった
時代が止まったようにこのまま私も終わるのか
私の決意の場所はどこ?
夏の終わりはどう感じよう
もう花火を見ることはないのかな……

時代は繰り返すのならばまた私に勇気をくれるか
走った大地が、歩いた大地が、涙を零した大地が、喧嘩した大地が、笑いあった大地が
そんな場所が変わらずにある
なくなってしまったものは心の中にちゃんとある

花火大会がなくなってもきっとまた見ることはできる
新たな場所へ、新たな人と、新たな思い出を

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