矛盾
矛を持って、私の前に現れないでください。
その鋒が私の頬を掠め、裂傷を生じさせても
フィブリンがせっせこせっせこ働くだけで
私の気持ちはちっとも変わらないのです。
地が揺れ、雷雨が降り、業火に見舞われても
そんなものはフイと窒素を吹けばなんともないことなのです。
あなたはその矛で多くの武勲を立てたことでしょう。
サラセン軍との戦い? モンジョワ?
大変結構でございます。
敵を薙ぎ、味方を増やしました。
しかし、あなたは私に致命傷は与えられないでしょう。
私には盾があります。
この盾は矛を持たない人間にしか持てない重厚なもので、更には相対する獲物に合わせて形を変えるのです。
あなたは矛を振り上げることなく、敵対することすらなく終わるでしょう。
それが私の持つ術なのです。
それだけが、私の持つ防衛術なのです。
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