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「みんなで」を掲げて - シード期のスタートアップが寄付を行うわけ

スマホをかざすだけのデジタル名刺「プレーリーカード」を運営する株式会社スタジオプレーリー共同代表の坂木茜音です。

今回は世界中で開催される「SDGsWEEK」に合わせて記事を書いてみようと思い、久々に筆を取っています。

🌳SDGsが採択された9月25日(GLOBAL GOALS DAY)を含む毎年9月末の約1週間、持続可能な開発目標(SDGs)の推進と達成に向けて意識を高め、行動を喚起するイベントが世界中で開催されています。

プレーリーカードは2024年3月より、日本初の木材素材のデジタル名刺の販売、そして、利用回数に応じて森林保全団体に寄付を行うグリーンドネーションプログラムを始めました。

たくさんの方から反響を頂き、木材販売の売れ行きも好調、グリーンドネーションへの参加者も増え、良いかたちで環境へのアクションが広がっています。(みんなの活動はこちらから確認できるようになっています!)

実際に19本分の金額が集まりました!(2024年9月時点)

一方で、スタートアップ初期からなぜここまで環境への取り組みを進めているの?と聞かれることがあります。

今回は、私たちが環境へのアクション・CSR活動に取り組む理由や経営メンバーの想いをご紹介します!🌱


年間100億枚の名刺を消費する国の「当たり前」を問う


みなさん、もらった後の紙名刺ってどうしてますか?

私は、展示会やイベントなどでもらった大量の名刺は、家に帰って名刺管理アプリへアップロードしたら用済み、そして山積みの名刺の一部になってしまっています。

たくさん紙名刺をもらった次の日なんかは、もはや誰が誰かわからない…という状態になる日も。

日本の名刺の年間消費量は100億枚と言われています。さらに、紙名刺一枚あたり約3gのCO2を排出していると言われています。
100億枚を重さで換算すると普通乗用車約80,000台(GPT曰く…)

これは、コロナ前の数字で、減ってきているとは思うものの、「100億枚の要らなくなってしまう紙たち」への疑問すらわかないまま、あまりにも人と出会った時の文化として当たり前になっているな…と思います。

なぜ必要かわからないままに一種の儀式を行なっているような感じ…。

さらに考えていくと、紙名刺の課題は単なる資源の無駄、というだけではありません。
部署が変わるたびに印刷しなおしたり、管理したりと時間や手間もかかります。

しかも、せっかく渡した名刺も書いてあるのは最低限必要な情報で、お互いのことがわからないまま時間が過ぎてしまうことも多々あるな、と。

私たちはそんな現状の解決策のひとつとして「捨てない」デジタル名刺プレーリーカードを開発することにしました。

めっちゃ初期の合宿した時の写真

1年半で40万枚の紙名刺を削減

2023年の2月に正式ローンチをしました。
このnoteを描いているのは2024年9月で、1年半と少しが経ちました。まずはここまでいろんな方にサービスを支えてもらって、とってもありがたい。

おかげさまで個人・法人含めて使ってくれる方も増え続けいます。
私たちが大事にしているのは何人の人が使ったか、ではなく、何回交換してもらったかです。
その数字が何回の出会いを生み、何枚の紙名刺を削減できたか、に直結するからです。

おかげさまで、40万回を突破しました。(2024年7月末時点)これは40万枚もの、紙名刺の無駄を減らしたことになります。

ユーザーさんからもたくさんの声をいただきました!

その他の取り組みとして、商品をお届けする際に用いる封筒に「FSC認証紙」を利用しています。これは自分たちのこだわりたい体験はつくりつつ、アクションもしたいという両立の判断ではあります。
(たくさん悩んでいろんな封筒を検討し、今のかたちになりました!)

FSC認証とは、持続可能な森林活用・保全を目的として誕生した、「適切な森林管理」を認証する国際的な制度です。認証を受けた森林からの生産品による製品にはFSCロゴマークがつけられます。
FSCとは(Forest Stewardship Council)の略です。

参考:https://jp.fsc.org/jp-ja/About_FSC

できることは少ないですが、自分たちのできる範囲で、できることをやろうというのが意思です。
これらの取り組みに加えて、木材素材カードの販売とグリーンドネーションを開始し、さらに環境へのアクションを進めました。

その裏側も書いてきます!

グリーンドネーションへ思考を導いてくれた「アート」


実はグリーンドネーションの取り組みはローンチ前からやりたいと考えていました。せっかく事業の世の中に発信するのだから、自分がやりたいことをやろう、と。自分が会社に投影される別の人格であるとするならば、きちんとソーシャルへもアクションもする会社になりたいと考えていました。

サービスローンチタイミングで「すぐにでも実施したい!」と検討したこともありましたが、そもそもプレーリーカードのニーズもつかめていなかったので「いつか絶対やるぞ」と心の中に決め、まずは事業として軌道に乗っていくことを目標にしました。

様々なアクションのかたちはありますが、中でもグリーンドネーションに取り組みたいという気持ちを持ったきっかけは「1% for art」というアメリカ発祥のアートへの取り組みを知ってからです。

1%フォー・アートとは?はこちらに解説

 「1%フォー・アート」とは公共工事、もしくは公共建築(建物・橋梁・構造物、公園等)の費用の1%を、その建築に関連・付随する芸術・アートのために支出しようという考えです。ルーツは戦前の米国にさかのぼります。1930年代、米政府は大恐慌を乗り切るためニューディール政策を採用しました。その一環として、職を失って苦境にある芸術家にも公共建築費の約1%を割いて、建物や公園に飾る芸術作品を発注しました。これは1943年までの約10年間、続きました。

 戦後、この「1%フォー・アート」は雇用対策ではなく、文化芸術振興策の一つとしてまず欧州で導入されていきます。米国、カナダなども続き、現在ではアジアでは韓国と台湾が法制化しています。

公益財団法人 日本交通文化協会 https://jptca.org/one-percent-for-art/

そこから同じように取り組むパタゴニアさんも参加する「1% for the Planet」や「ヘラルボニーのEPOSカード」の取り組みなども見ていていいなと感じていました。

パタゴニアさんは活動素敵すぎてめっちゃウォッチしてます
使うたび、社会を前進させるカード。というコピーが素敵

とはいえいつやるのよ、という話はあって。
プレーリーカードは2023年の2月にローンチし、ありがたいことに多くの方に使っていただき、法人さんからのお問い合わせもたくさんいただき、さまざまなメディアさんにも注目いただきました。
これは「なんだか楽しそうなプロダクトが出たぞ」と乗っかってくれたユーザーの皆さんのおかげであり、私を応援してくれている方々のおかげであります。いいスタートダッシュは切れたと自負しています。

とはいえ無我夢中で走ってきたので気づけばあっという間に1年を迎えようとしていました。

私はソワソワしていました「そろそろ木のことやらん?」と。

社内で議論を重ねて実施を決意


タイミングとしては、1周年というのがいい区切りになりました。
日本初の木材のカードの販売とグリーンドネーションの準備は着々と勧めていたので、あとは発表のタイミングです。

ローンチから1周年というのは私たちにとっても、応援してくれるユーザーさんにとってもいい報告ができるタイミングだなと思ったので、大体2ヶ月前の2024年の年明けくらいには実施を決めました。

うまくいえないのですが、自分がサービスを生み出しているということは、誰かの仕事を奪っていることであり、生み出すためのエネルギーを自然から分けてもらっているからという気持ちがあり、もらったものをできるかたちで返すのは至極当たり前なことだと考えている上で、そこへ取り組めてないことが気になっていたからです。

…とはいえ話し合いはありました。
なんせローンチから1年未満のスタートアップです。お金と人的コストは限られています。正直社内でも意見が分かれました。

👼自分に投げかけた問い

  • PRタイミングとして適切か?

  • 金銭コストはいくらかかるか?

  • 人的コストはいくらかかるか?

  • ユーザーさんは応援してくれるか?

  • 本当にやりたいのか?

「PRタイミングとして適切か?」の視点でいくと、もう少しユーザーさんが増えてからの方が賛同してくれる方や母数を増やした方がいいのではないか、という観点もありました。

環境にアクションしたい、けどまだできることは小さい、会社の経営はどうする?時間もお金も今かけるべきか?もっと伸びる施策があるのでは?私たちは3人の経営メンバーで進めているので、とにかく話し合いました。

それでも私の中で大きな問いは「ユーザーさんは応援してくれるか?」です。すぐに結果は出なくてもまわりまわって意思は伝播する。必ず賛同してくれるという信頼を胸に、「やる。」を決意。

木材カードの販売とグリーンドネーションの開始は同時タイミングでやりたいと思ったので、意識を揃えて時間をかけて組み立てました。
タイミングとしては1周年が適切だと。

実際に1周年のタイミングで実施した「ファンミーティング」の際には、みんなが応援してくれ、「紙資源の削減というマイナスから0への取り組みも大切ですが、0からプラスの取り組みも行いたい。」という想いもユーザーさんに伝え、伝わりました。

みんなありがとう

私は正直スタートアップ歴=プレーリーカード歴なので上手い進め方や、経験はありません。ただ、社会全体の流れを感じることに興味がある身としては、これからはとことん「みんなで世界観を広げていけるか?」が鍵になるような感覚があります。

プレーリーカードはそんな存在になれると信じています。
声が声を呼び、人が人を集め、想いが、波に乗って、風に乗って、どこまでも遠くへ行くように。

実は「グリーンドネーション」という単語はないんです。
ただ、私たちはこの概念を独占したいわけではないので、サービス活動を通して森林保全団体等に寄付する活動のことをそう呼んでいきたいし、他の企業さんも同じように「グリーンドネーション」の取り組みを一緒にやれたらいいなと思っています。

検索TOP。業界だけではなく、社会をリードしていきます

ひとつひとつの積み重ねがいつか大きな波になると信じて


私が環境に興味を持ったのはいつか、と聞かれると難しいですが、田舎の山口県で育ち、自然が大好きになり、ワンちゃんと暮らしていたので動物も大好き。あとは共感生が高く、草花から痛みを感じたり、生き物から悲しみを感じたりすることが多いこともあり、好きで、美しいものごとが困っている、その原因を自分たち人間がつくっていることに責任を感じています。

さらに自分の中での大きな起点になったのは、海外にバックパックに行った時のことです。
自然に対して心からアクションをとっているエジプトのダイバーや、ブルガリアのご夫婦、トルコのおばあちゃん、同じくバックパッカーのお姉さんなどその人たちの美しい考えや行動にとても共感したことがきっかけです。

ヒッチハイクをきっかけに1ヶ月一緒に過ごしたMONICA

私たちのミッションは
新しい出会いの文化を創造しコミュニケーションを豊かにする」

まだ手にとっていない方は、ぜひ木材素材のプレーリーカードをお試しください!
また、購入いただいた方は、グリーンドネーションも進めて、環境へのアクションを一緒に進めていきましょう。

以上終わり〜!


▼プレーリーカードについての記事はPIVOTさんの動画を

▼坂木茜音についての記事はForbesさんの記事を


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