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米農家と田んぼの風景

2024年夏にお米が店頭から消え、価格が倍以上になったことは記憶に新しいと思います。2025年になっても価格は高止まりしたままです。


昨年末の朝日新聞の記事に以下のような米農家の現状が載っていました。

JA全農あきたが農家に払うあきたこまち1等米の1俵(60キログラム)の当初の前払い金は1万6800円と、昨年より4700円高かった。ただ沢田石さん※は「値上がりではない。やっともうけが出るようになっただけだ」と話す。
※秋田県五城目町の米農家

農水省によると、コメ農家など1経営体あたりの作物収入などは378万3千円(2022年)。肥料代や光熱費など農業経営費を除けば、残るのは1万円で、平均労働時間(年約1千時間)を踏まえると、時給10円の計算だ。

〈いずれも朝日新聞2024年12月23日朝刊より一部抜粋〉

この記事を読んでいて、米農家さんの苦悩がひしひしと伝わり胸が痛くなりました。お米が高くなって農家は儲かっていると思っている方もいるかもしれませんが、実際は赤字がちょっと黒字になった程度。
時給で考えてみれば世の中の多くの仕事とはかけ離れた現状なのです。
日本の農業の世界では「米は大規模じゃないとそれだけでは食っていけない」というのが残念ながら定説のようになっていて、米作りをやめ田を手放す農家がとても多いです。

私の実家では長くりんごと米を栽培してきました。米は家族分ほどの栽培でしたが、田植えや稲刈りの手伝いに行った記憶が今でも残っています。
ですがりんごの量が増え作業時間が取りにくくなったことと祖父母の引退を機に米作りはやめました。今は町内の知り合いから購入しています。
田は持ったままですが放置しており、たまに草刈りをするだけです。

昨年久しぶりにうちの田んぼを見に行ってみたのですが、かさついた草が伸び、田んぼだった形跡はほとんどなくなっていました。とても寂しい気持ちになりました。

実家の田んぼだった場所


地元はりんご畑と田んぼが風景のほとんどを占めるような場所で、それが当たり前でした。ですが年々田んぼの耕作放棄地が増え、稲がすくすく育っている横は草ぼうぼうの土地という風景になりつつあります。

私は田んぼの風景が好きです。田植え前の水が溜まって鏡のようになる様子、夏の青々とした稲、そして秋の黄金色に染まった稲穂が揺れる時間。どれも美しく見惚れてしまいます。

岩木山と初夏の田んぼ


その風景をいつまでも見ていたい。そのために自分は何ができるのか。ずっと考えています。

まずは地元のお米を食べること。そしてそのお米の先に農家さんがいることを忘れないこと。毎日の自分の小さな行動が風景を守ることに繋がればいいなと思っています。


今年も無事みのりの秋がきますように。