『すきとおりすけのすけ』書店でのご注文について
拙著絵本『すきとおりすけのすけ』の出版社での在庫期間は今月で終了となりますが、書店でのご注文は明後日29日の昼間までは受け付けられるとのことです。どなたか必要とされる方のそばに、すけのすけを置いていただけたらさいわいです。
↓こちらは出版時に書いた、作者のことば、 『いるのにいない』です。
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何かをつくるとき 自分が消えたようになるときがある
何か大きなちからに動かされているような感覚
その「大きな何か」を誰かに伝えるための、
自分はただの通過物になったような状態
この宇宙のすべてのもの、存在に
感謝のような、敬うような
そのとき感じる 強い強い、眩しさ
(2009年7月23日の手記より)
その事について考え続けていたわたしは
自分が消えたような状態は「窓」だと導き出し
同じように生きている人へ旗を振るような気持ちで、
「窓が主人公の絵本」に取り組んだ
制作が長く難航していたあるとき、
副産物のように『すきとおりすけのすけ』が訪れた
窓と同じように透明な、「いるのにいない」すけのすけ
描いてゆくにつれわたしは、すけのすけの究極の孤独を知った
誰にも存在を認識される事無く生きてきた彼はきっと、
寂しさすら知らなかったのかもしれない
すけのすけの「自分でもわからなかった自分の姿」は
幾多のトラブルや他者との関わりによって露になってゆく
ひとは 誰もがそうやって己を知ってゆくのではないだろうか
そしてときは訪れる
誰かが自分をみつける
言葉を交わす
ぬくもりを知る
究極の孤独を生きてきたすけのすけにとって
どんなにか眩しく衝撃的な瞬間だったであろう
何も言葉にならないときにあふれる涙のように 雨は降る
元の透明な姿にもどったすけのすけは
そのつかのまの鮮やかな記憶をいだいて生きてゆく
もう彼はきっと 寂しさも知ってしまった
それは眩しさと共に在ることも
いつかあなたが孤独の中に居るとき、
すけのすけはきっと 側に居る
何もしない、ただ居るだけ
あなたは気づかない
でもあなたのこころは何故かほんのすこしあたたかになる
それだけでうれしい
すけのすけも
わたしも
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出版後に寄せられたお手紙には、風でカーテンが揺れると「すけのすけだよ」兄弟で言い合ったり、何もないところを指さして「すけのすけだ!」パンの上で溶けるバターを見て「すけのすけみたい」と言ったり、その子だけに見えるヒーローとしてすけのすけがいるらしい、などのエピソードをいただきました。
また、親戚の勤める障害者施設では、子供からも先生からも大人気との手紙をいただき、「すけのすけの究極の孤独」は、ご自身も孤独を抱いて生きている方に、きっと無意識のうちに響くのだろうと、教えていただきました。
世の中の多数ではないかもしれませんが、必要としてくださる方のもとへ届きますように。