見出し画像

もつれた糸を解く

もう一つ,年末年始の遊びがありました。
凧あげです。
ぼくが遊んでいたのは主にやっこだこでした。

うちのそばに高校があって,昔は出入り自由だったので
よくそこの校庭で遊んでいました。
もちろんラグビー部やサッカー部,野球部が練習していたら使えませんが。

校庭に凧を風の向きと走る方向を考えて地面に置き,一気に走ります。
でも,これがまた,あがらない。
シッポの長さやつける位置を工夫したり,
途中まで弟に持ってもらって走ったりするけど上がらない。
これもまたうまく上がった覚えがありません。

パッタもコマも凧も上手にできた覚えがないっておかしいよな。
絶対どれも一回くらいは成功したと思うんですけど
その成功した事実を覚えていないで
失敗した事実だけ覚えてる
失敗した悔しさだけ,敗北感だけ,劣等感だけ覚えてる
なんか,おかしいなあ。

でも覚えているのはたこ糸ほどきの達成感です。
とにかく凧揚げすると,よく糸が絡まっていました。
ちょっとの絡まりは我慢しても,
もう,ぐちゃぐちゃにからまるとどうしようもないので
家に持って帰って,ほどくしかありませんでした。
 
たこ糸はちょっとくらいからまっていぼになっても
かまわないで飛ばしていたので
一部はさらに,かなりきつく硬くこんがらかっていました。
でもそれをほどいていくのは,嫌いではありませんでした。
こんがらかったところをよく見て,糸の流れを考えて
爪を立ててかたまりをほぐし,
また別のかたまりとの位置や上下左右を考えてほどいていきました。
昔のたこ糸ですから今の様にしっかり三つ編みがくっついてなくて
ところどころ三つ編みが緩んでいたりして
糸の流れを複雑にしているところもありました。
一つの大きなからまりの中にいくつもの小さなからまりがあったりもしてました。
でもそういうのを見ると,さらにやる気が出て一心不乱に頑張っていました。

祖父が
「お~,よくそんなの解いているなあ~,関心関心」 
と,褒めてくれました。
ぼくは,なんだかうれしくなって
さらにねばって,解いていきました。
父が
「そんなにからまってたらもうだめだから,新しいの買っておいで。」
とお金をくれようとしても,
「いいよ,解けるから。」
とがんばりました。

やっと解けたときには,ぼくはうれしくてうれしくて。
すぐには凧あげには戻らず
タコ糸を糸巻にまいてはほどき,まいてはほどきして
しばらくながめていたもんでした。
するとたこ糸のところどころにかたまりの後があったり
三つ編みがほどけてほつれたりした後を見つけたりして
ホントに解けたんだ,という達成感を感じていました。
 
それからなのかどうか知りませんが
絡まったものを見ると
解きたくなってうずうずします。

でも,その他のめんどくさい事はきらいなんです。


いいなと思ったら応援しよう!