R6年 第2回杉並区議会定例会 一般質問①
第3回定例会も終わってしまいましたが、記録として第2回定例会の記事を上げておきます。
今回の一般質問は、①特定妊婦について②児童生徒の健康診断について
③学童クラブについて④公園利用についてです。
以下、項目別に質問と答弁を載せます。少し長いです。。。
区議会のHPでは動画配信でも確認できます。↓
質問内容
特定妊婦の支援について
特定妊婦とは、2009年に児童虐待を防ぐために、児童福祉法の条文に明記されました。
その定義は「出産後の養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦」としています。厚生労働省の資料によりますと、明記された2009年は994人でしたが、年々増え続け、最新の登録者数は、2020年では8327人と約8倍なっています。特定妊婦の登録には具体的な基準はなく、自治体によって判断されます。
では、具体的にどのような状態の人が認定されるのかというと、
収入基盤が安定せず貧困状態にある、妊婦自身や家族が知的・精神的障害で育児困難が予測される、望まない妊娠やパートナーのDVによりサポートする人がいない。若年妊娠など複雑な事情を抱えている、など状況は人により様々ですが、子供を育てる環境に大きなリスクを抱えている妊婦です。
Q1-1 区では、どのような流れで特定妊婦として登録されるのか、また、登録者数137名とのことですが、その人数は他区と比較して多いのか、伺います。
特定妊婦の認定を受けると、自治体の支援対象となります。支援内容は自治体により異なりますが、一般的には、保健師や社会福祉士が家庭訪問、電話での面談、経済的に困窮している場合は生活保護の申請や様々な申請に同行、産婦人科に未受診の場合は出産受け入れ先の病院を探す、産前から産後まで入居して支援を受けられる産前・産後母子支援事業の実施施設の紹介、就労支援、家事支援サービスなどの紹介があります。
Q1-2 区で実際行っている支援内容について、具体的に伺います。
先ほど、特定妊婦の登録者数が10年で8倍ほど増えたとお伝えしましたが、これはあくまで登録のある特定妊婦の人数です。登録はされていないが、支援が必要な妊婦は多く存在していると言われています。(その背景には、人に助けを求めづらいという本人たちの苦悩があります。小さい頃から、親から言葉の暴力を受けて育ち、常に人の顔色を伺って生活してきた。親からネグレクトを受けていて困ったことがあっても助けてもらった経験がない。など、誰かに頼るという経験をしたことがないから頼り方がわからない女性たちがいるとのことです。)昨年の他議員への答弁で、「特定妊婦への一定のサービスは構築できているが、サービスにつながりにくいケースが多く特に保健センター地区担当保健師においては、産科医療機関等と連携し、必要なサービスにつなぐことができるよう、進捗管理を所内でも情報共有し検討しながら支援しているところ」とありました。
Q1-3 このような状況である女性たちにどのように手を差し伸べるか、区として、特定妊婦が支援につながるよう工夫していることを伺う。
先日、区外ではありますが、特定妊婦を支援する認定NPO法人の方とお話しする機会がありました。こちらのNPO法人では、特定妊婦の方が宿泊する施設を運営し、衣食住の提供、生活のサポートをしてくださっています。ショートステイの制限を緩和してほしい、親子でショートステイできる場所が欲しいとの要望がありました。
現在、区内には都内自治体で最多である5つの児童養護施設と2つの乳児院があります。
両施設でショートステイが可能であり、保護者が病気や出産などで一時的にお子さんを養育できない時に、宿泊で預けることができます。対象児童は区内に住所を有する家庭の0歳から12歳(小学生)までの児童です。定員は、0歳から2歳未満が一日3名、2歳から12歳は1日5名です。期間は一回につき7日間以内で、年度内の合計は児童1人につき28日以内と決められています。息抜きのためにも、ショートステイのように子供を預ける場所があるのはとても大切なことです。出産後、母親は365日、24時間子供と過ごすことが多く、1人の時間を確保するには家族の協力が不可欠です。特定妊婦と認定された方が、産後に子どもを預ける場所がある、頼る場所があることは、どれだけ気持ちを楽にすることかと存じます。
Q1-4 特定妊婦が出産した場合は、要支援ショートステイも可能とのことだが、現在の利用者数はどの程度いるのか。そのうち特定妊婦だった方はどの程度いるのか。また、特定妊婦だった方がショートステイを利用した際の効果をどのように捉えているか伺う。
親子ショートステイについてですが、子供だけを預けることに抵抗を感じる人も一定数おり、母親も一緒にリフレッシュできる施設がほしいとのことです。子供だけを預けることは悪いこと、母親としてよくないことなのではないかと感じてしまうようです。現在区内に親子ショートステイができる場所はありませんが、4月1日施行の児童福祉法改正にともない、「子育て短期支援事業について、保護者の心身の状況、児童の養育環境その他の状況を勘案し、児童と共にその保護者に対して支援を行うことが必要である場合にあっては、当該保護者への支援も含め行うことができるものとした。あわせて、当該事業のうち短期入所生活援助事業の利用期間について、現行、原則7日以内とされ、必要と認められる場合は延長が可能とされているところ、この規定を改正し、保護者の心身の状況、児童の養育環境その他の状況を勘案して市町村長が必要と認める期間と規定することとした。」
と親子への支援についても明記されました。
Q1-5 区内でも親子で一緒にショートステイができる場所を確保して欲しいと考えますが、今後の区の計画を伺う。
答弁
◎杉並保健所長(播磨あかね) 私からは、特定妊婦に関する一連の御質問にお答えいたします。
Q1-1まず、特定妊婦の登録と登録者数についてですが、区は妊娠届が提出された全ての妊婦を対象に、助産師等の専門職がゆりかご面接を実施し、一人一人の妊婦の状況を確認しているほか、産科等の医療機関や保健師の相談業務等を通じ支援の必要のある妊婦を把握しており、これらの情報を踏まえ、各保健センターで保健師等の専門職が特定妊婦とすべきケースかを検討し、登録を行っております。新規登録者数は令和5年度が137人、令和4年度が143人となっており、他区との比較が可能な令和4年度の妊娠届出数に占める特定妊婦の割合は3.4%で、23区中5番目に多い状況です。
Q1-2次に、区が行っている支援内容についてですが、議員御指摘の支援のほか、精神科や内科等の医療機関と連携し、病状等に応じた支援を行っているほか、各保健センターと子ども家庭支援センターが情報を共有し、必要に応じて助産師等の専門相談員が家庭を訪問し、出産に向け必要な支援について相談や助言を行う養育支援訪問事業を実施しております。
Q1-3私からの最後に、特定妊婦の支援につなげる工夫についてですが、区は、妊娠が分かって悩んでいたり、どこに相談してよいか分からない方の相談窓口として、区の公式ホームページと妊婦向け相談案内カードの配布により保健センターなどを案内しており、それぞれの窓口で相談者に寄り添い対応するとともに、必要に応じて特定妊婦としての支援につなげています。また、産科医療機関等の関係機関と連携し、支援が必要な妊婦の把握に努めているほか、ゆりかご面接の実施後も保健センターの保健師が一人一人の実情を把握し相談に応じるなど、妊娠初期から切れ目のない支援を行っております。今後も必要な方が必要な支援を受けられるよう努めてまいります。
私からは以上です。
◎子ども家庭部長(松沢智) 私からは、まず、特定妊婦とショートステイに関するお尋ねにお答えいたします。
Q1-4出産直後に利用することが多い乳児院でのショートステイの利用者数は65人、そのうち特定妊婦だった方の人数は16人です。特定妊婦だった方のショートステイを利用した際の効果ですが、比較的長い期間利用する方が多く、休養を取ることで余裕を持って子育てができるようになった、施設職員のアセスメントにより子供の特性に合った対応を学ぶことができたなど、虐待の未然防止に資するものがあったほか、養育環境の整備や生活の立て直しのための手続ができたなどの事例もございました。
Q1-5次に、親子ショートステイに関するお尋ねにお答えいたします。
これまで保健センターや子ども家庭支援センターの職員が、強い育児不安や負担感がある要支援児童等の保護者に対し、虐待の未然防止の観点からショートステイの利用を進めた際に、子供だけを預けることにちゅうちょする場合があることから、親子での預かりが課題と考えておりました。こうした中、本年4月1日に改正児童福祉法が施行され、児童と共にその保護者に支援を行うことができるようになったことから、親子ショートステイについては今後検討を進めてまいりたいと考えております。