akaneおすそわけ郵便 第二十三回「自由に好きなことを書いてお金を稼ぎたい」
三箇日が寝正月で終わろうとしている。素晴らしい。
ただ食べて、寝て、合いの手のように文章を書いて。それ以外は何もしなくて良しとしたら、すごく気が楽になって、自由を満喫出来た。
自由で居ると、自分の内側が広がって、身体の奥底に眠っていた欲求に気づく。私のそれは「好きなことを書いてお金を稼ぎたい」だった。
好きなことは書いて来た。書くことでお金を稼いでいた時期もある。ただ、好きなこと、書く、お金を稼ぐの三つが繋がっていたのは、以前に、自作の写真絵本を作って売っていた時だけだと思う。それでさえも、自分で製本をしたりと、書くこと以外の能力を付け足して作品にしていた。
今はただ、自由に書くことに専念して、お金を稼ぎたい。
中学の時、通っていた書道の塾で、手本なしで好きなことを自由に書いていい、創作と云う時間があって、その時の私は「自由って、拠り所がなくて怖いなぁ。」と感じていた。
だが、本人の想いとは裏腹に、この創作だけが先生に好評で、知らぬ間に展に出品されて賞を頂いてしまった。弘法大師ゆかりの展だったためか、賞の名前が南山賞。ナンザンショなんて、トニー谷みたいな賞だなぁと呆れていたら、それが最優秀賞だったと聞き、家中で驚いたのを覚えている。
思えば、あの時以来、下手でも筆で書くのが好きになった。自由は、いまだに怖いとも思うが、私が生きて行く上で一番欠かせない構成要素になっている。
では、自由がそんなに大事なのはわかったけれど、あなたの文章の売りは何ですかと問われたら。
私は元々、クスッと笑える明解で美しい文章と云うのを目指していて、作家で言えば、久生十蘭と中島敦の文体に憧れている。
でも、私が今、大切にしたいのは、文体でも内容でもなくて、私がその時に書きたいと思った熱情の方だ。今の私自身が顕れるような文章を書いて、その対価としてお金を頂きたい。言うなれば、私自身が売り物なのだ。
なんて、無謀で贅沢な欲求だろう。言葉にするだけで、怖さと歓びに身体中が満たされる。綺麗ごとではない願いは、こんなにも力強く心清々しい。
自分と自分の欲求に忠実で居るとどんな奇跡が起きるのだろう。
私は、自分を生きて、願って、書いて、信じる。それを繰り返すだけ。
*以下は、この願いがnoteでサポートして頂くと云う形になった時の歓びに溢れた記事です。
【今日の一枚】「オズの魔法使い」はフランク・ボームの原作を全部読んだのですが、巻を追う度に主人公になる女の子が変わって(増えて)混乱してしまい、結局二巻目位までしか内容を覚えていません。映画は見返す度に、演出や美術が素晴らしいなぁと思います。
【akaneおすそわけ郵便】は、大橋あかねが三十年以上かけて集めたポストカードに、自分の日常や愛するモノについてなど、その日の気分で書きたいことを書いて郵送でお届けすると云う企画です。こちらは、そのnote 版。今日もおつきあい頂いて、ありがとうございます。
(C)akane ohashi 2019, 2020