おすそわけ日記 76 「ナソナとイソニ劇場〜とんちんかん〜」
ナソナこと、母、七十七歳。生粋のおとぼけ。
イソニこと、私、五十二歳。ボケとツッコミの二刀流。
そんな二人が繰り広げる、愛と笑いとちょっぴり心配も詰まった日常を描いた「ナソナとイソニ劇場」が、ここに開幕!
せめて、くだらない話でも。
先日、お茶の稽古で頭をぶつけた母、心配になって病院に検査に行ったら、なんともなかった。安心して涙出ちゃったじゃないか。本当によかった。
医師から頭をぶつけた際の注意すべき症状一覧を渡された母、目を通しながら私に「とんちんかんなことを言ったら、教えてね。」
どうしよう、いつものことだから判断できない。天然ボケの人はどうすればいいと?そもそも、症状に「とんちんかん」と云う言葉を使うこと自体が、私にはざっくばらん過ぎて微妙。一休さんのオープニングが頭の中を駆け巡る。
夜、WOWOWで映画『K-20 怪人二十面相・伝』を見て、金城武の鉄塔を登るアクションに感心した母、しみじみと「あんな風に動けたら、いいね。」と呟く。
私、無言のまま、心の中でツッコミを入れまくる。「あれは、若ければ出来ると云うわけではないので、お母さんが昔を懐かしむ様に言っても、お門違いです!」であるとか、「お母さんも鉄塔に登りたいのですか?鉄塔に登って、一体何をしでかそうと云うのですか?」とかとか。
覆いかぶせるように母が「あなたは、どう?」
鉄塔に!?私が!?
「まさに今、私が耳にしている発言こそ、とんちんかんです!」
と言いたいが言わない。
だって、きりがないから。
【今日の一枚】明るい気分になるべく、以前、我が家で育てていたバラの写真を。私のお気に入りのラデュレ。
今日もおつきあい頂いて、ありがとうございます。
毎日、書く歓びを感じていたい、書き続ける自分を信じていたいと願っています。