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自由でやさしい経済は、いかしあう仕事でできている。

ローカル・ソーシャル・サステナブルな領域の採用キャリア支援事業「グリーンズジョブ(NPO法人グリーンズ)」、そして自由でやさしい経済をつくる活動体「Community Based Economy(一般社団法人RELEASE;)」の一員として活動するようになり、もうすぐ1年と半年が経とうとしています。

それぞれの活動を通じて、日本全国のおもしろくてかっこいいプレイヤーの方々にたくさん出会えた一年でした。


たとえば、京都府の京北(けいほく)と呼ばれる地域を拠点に活動する「ROOTS」。茅葺きなど継承が危ぶまれる日本の伝統技術。その職人の方を講師として、海外から来る日本文化を学びたい方に学びの機会を開くスタディツアーなどの事業をおこなっています。彼らの活動があることによって、後継者がおらず何もしなければ今の代で無くなってしまうかもしれない技術が、未来に遺されていきます。

シーベジタブル」は、海藻の養殖・加工事業を通じて、海の保全と海藻の種の保存に取り組んでいます。また事業内容だけでなく、そのプロセスにも工夫があり、障がいを抱える方や高齢者の方など誰もが活躍できる仕事づくりにも挑戦されています。

宮崎県新富町の地域商社「こゆ財団」。豊かな農産物の販売促進や、農産物を活用した商品開発、そして地域の資源を活用してビジネスを生み出していくことができる人材育成・教育事業に取り組んでいます。HPに書かれているとおり、「稼いでまちに再投資する」ことに挑戦されていて、地域経済を本気で動かしていこうという雰囲気が伝わってきます。

活動の起こりや直近の悩み、10年先100年先に何を見据えているのか。そんなお話を伺っていると、脳の奥にずしんときて、ドキドキソワソワしてしまう自分がいます。一体なぜなのか?


彼らの活動に共通していると感じるのは、自分たちが暮らすまちの資源をいかし、自らの活動(事業・ビジネス・プロジェクト)を通してまちに資源を還元する「いかしあう仕事」だからではないかと思うのです。

「いかしあう」という考え方について、グリーンズでは下記のように定義されています。

いかしあうつながりとは、あらゆる人、生物、資源の可能性が活かされる持続的な関係性のことです。

いかしあうつながりって、なんだろう?(NPO法人グリーンズ)
https://greenz.jp/ikashiautsunagari/

まちは、とても多様な要素で構成されています。農産物や海産物などの一次産業は分かりやすいですが、それ以外にも、気候風土、歴史文化、そしてそこに暮らす人のつながり。

さきほど例に挙げたプロジェクトは、
ー 自分の暮らすまちに既にあるどんな要素を"資源"と捉え、自身のプロジェクトにどう活用するのか?
ー 活用するだけでなく、自身のプロジェクトを推し進めることで、まちに何を還元できるのか?
ー その活用と還元の循環を繰り返した先に、どんな未来を描いているのか?未来に何を残そうとしているのか?

こうしたことをとことん考え、試行錯誤しながら実践し、着実に形にしています。…めちゃくちゃかっこよくないですか?

こんなイメージ

今年の2月、「ROOTS」、そして同じく京北で活動されている「工藝の森」の現場に滞在・見学させていただく機会がありました。Community Based Economyを通じて彼らの取り組みは知っていて「とても素敵な活動だな」と思っていました。

けれど、実際に現地に足を運んでみるとまったく印象が変わったんです。なんというか、頭だけじゃなく身体全体でその凄さを実感したというか。腹落ちしたというか。

スピリチュアルな話ではなく、1泊2日、滞在時間にすると20時間ほどという短い時間だったとしても、京都の市街地から1時間半かけて車を走らせ山あいを抜けてたどり着き、地域で採れた季節のものを一緒に食べながら話を聞いたり、実際の活動現場を見学させていただいたり、その土地の空気を吸ったり植物に触れたり匂いを嗅いだり、そうした実体験が私にとっては足りていなかったんだなと。

朝の京北で散歩。雨上がりの空気が気持ちいい。
植樹されている漆の木の森を見学させてもらう。
活動についてのお話を伺ってから実際に森を訪れる体験。とても良かった。
立派な古民家に宿泊させてもらいました。
これまた立派な門とお庭。
京北の森で切り出してきた薪であたためられた釜風呂に浸かる。
夜更けまでたくさんお話しました。贅沢な時間。

ここ数年は「はじめまして」から「お世話になりました」までオンラインで完結することが多かったのですが(そのおかげで遠方の方とも出会うことができているのだけど)、一次情報として受け取ることの大切さを改めて実感したのでした。

「かっこいい人たちが日本中にたくさんいるけれど、では自分はどうするのか?」しばらくはいろいろな場所に訪れて、仕事と暮らしのちょうどよい形を模索していきたいと思っています。自分の身体で感じて、自分の頭で考えたい。

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