不確実な新規事業開発を支える『プロジェクトデザインシート』
WHITE イノベーションデザイン局の岡本です。プロジェクトマネージャー(PM)として、日々新規事業開発に取り組んでいます。
今回は、WHITEがプロジェクトデザインフェーズで活用しているテンプレート『プロジェクトデザインシート』をご紹介したいと思います(「#お気に入りテンプレ」というnoteのお題企画に乗ってみました)。
目次
・"プロジェクトデザイン"ってなに?
・プロジェクトデザインシートの役割
・プロジェクトデザインシートの使い方
・記入時のポイント
・さいごに
・参考書籍
"プロジェクトデザイン"ってなに?
WHITEでは下記図のように、仮説設計 ↔ 仮説検証 を繰り返しながら新規事業開発を進めていきます。
プロジェクトデザインは、そのいちばん始めのフェーズ。クライアントからご相談をいただいた際、①与件を整理し、②必要なメンバーを集め、③ゴール達成までのプロセスを設計し、④業務範囲を定義して、⑤スケジュールに落とす。ここまでが、プロジェクトデザインフェーズでPMがおこなうべき任務です。
プロジェクトのいちばん始めのプロセスであり、PMのいちばんの力の見せどころでもあります(「④プロセス設計」の解説記事はこちら。ご興味ある方は合わせてご覧ください)。
プロジェクトデザインシートは、「①与件を整理する」任務の達成に役立つツールです。最終的に達成したい目的は何か?、事業を考える際の制約は何か?、企業の意思を明確にし、何が決まっていて何が決まっていないのか、言語化するサポートをしてくれます。
世の中にあるさまざまなプロジェクトマネジメントに関する文献を参考にしながら、WHITEに寄せられる相談内容に合わせてオリジナルで作成しました。
プロジェクトデザインシートの役割
なぜこのシートが必要なのか? それは、新規事業開発は未知のことばかりであるからです。
まだ世の中にない未知のものについて他人と共通認識を持つのは、極めて難しい作業です。「コンセプト」や「プロトタイプ」といった使い易い言葉は多様されがちで何となく会話は成り立つものの、一人ひとりがイメージしているものはまったく異なるものを指している、ということも少なくありません。
プロジェクトの与件がちゃんと握れていないと、どうなるか?
・いつまで経ってもクライントやメンバーと微妙に議論が噛み合わない…
・曖昧な議論ばかりでサービスコンセプトがシャープになっていかない…
・プロジェクトの与件が変更になったとき、どこまでが誰の責任範囲なのかあやふやになってトラブルに…
なんてことが、起こりかねません。新しいものを生み出すプロジェクトに関わる人であれば、誰しもヒヤッとした経験があると思います。そうならないためにも、クライアントも取引先も社内メンバーも含め、プロジェクトメンバー全員で議論し、認識を合わせることが大切です。
プロジェクトデザインシートの使い方
プロジェクトデザインシートは、大きく分けて[背景と目的][初期仮説][制約条件][体制]という4つの要素で構成されています。
[背景と目的]プロジェクトの「目的」を明らかにするための項目です。「目的」だと認識していても、実は手段や要因の話が混ざってしまっているケースもあります。最終的に達成したいことは何かを見極め、言語化しましょう。
[初期仮説]プロジェクトの現状について、整理するための項目です。プロジェクトスタート時点のフェーズはさまざまで、まったく0からスタートの場合もあれば、すでに受容度調査まで終えている場合もあります。現時点でどんな仮説を持っているのか、その根拠は何か、言語化していきましょう。
[制約条件]プロジェクトを進める上で、守らなければならない条件を明確にするための項目です。プロジェクトスタート時点ですべてが確定していることは少ないかもしれませんが、仮でも良いので、現時点で持ちうる情報をなるべく詳細に書き出してみましょう。
[体制]プロジェクトに関わる組織および人物と、それぞれの関係性について把握するための項目です。上申の事前準備や協力体制の構築など、プロジェクトを円滑に進行していくために、一人ひとりが持っている情報を集めて整理しておきましょう。
記入時のポイント
とにかく書き始めてみよう! 当たり前だと思うことも、まずは書き出してみましょう。可視化することで初めて他の人と共有することができます。はじめから完璧に埋めることができなくても、まったく問題ありません。プロジェクトについて多様な視点で観察し、プロジェクトメンバーで議論して、何が決まっていないのかを知ることが重要です。
更新しつづけよう! プロジェクトの状況は、常に変化していきます。プロジェクトスタート時に書いたことを、最後まで守り通す必要はありません。新しい情報が入ったり軌道修正ががあったときには、追記・変更していきましょう。その際、あとから議論を振り返ることができるよう、古いシートは残しておくことをおすすめします。
使いやすいように変えよう! このテンプレートは、あくまでWHITEで取り組むプロジェクトに合わせて作成しています。WHITE内でも、活用しながらどんどんアップデートしていく予定です。企業の状況やご自身のプロジェクトの内容に合わせて、使い易いよう自由に改変してみてください。
さいごに
『プロジェクトデザインシート』の紹介は、以上です。決まっていないことだらけで、どこから考えたらいいか分からない…!と悩んでいる方のお役に立てたらうれしいです。使ってみたよ!こんなふうに改変してみた!のご報告も、お待ちしてます。ぜひ活用してみてください。
参考書籍
プロジェクトデザインシートを考える際に、参考にした書籍の一部です。
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WHITEは事業会社とともに、新規事業を実現していく「イノベーションデザイン」を中核事業としている会社です。新規事業やサービス開発でお困りでしたらお気軽にお声がけください。
2019年3月に新サービスをリリースしました!『WHITE SERVICE DESIGN』で培ったノウハウを凝縮した、クラウド型イノベーション創出支援サービスです。今回ご紹介した『プロジェクトデザインシート』以外のテンプレートも、無料で公開中です。ご興味ある方はこちらもどうぞ。
他のWHITEメンバーもコツコツ書いてます。ぜひご覧ください。
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