獄中記 #01|囚人の挨拶
735番。業務上横領罪、懲役6年。異常ありません。今日も一日よろしくお願い致します。
いきなり仰々しい出だしで失礼しました。noteを始めるにあたって記事の初めには定型的な挨拶が必要かなと思ったのですが女囚の私が普通に挨拶するのも少し違うかなと思い、毎朝刑務所でしている挨拶をしてみました。
挨拶というよりは点呼ですね。これを毎日看守に向かって大きな声で呼称して私の一日は始まります。点呼内容はシンプルですが自ら囚人番号で名乗ると惨めな気持ちになります。
無機質な3桁の番号が私の名前、長嶺茜と名乗ることは許されません。その理由も大きく呼称します。業務上横領罪で懲役6年の刑に服している罪人。そんな私に人権はなく、それが名前にも表れているのです。
点呼一つとっても囚人に立場を自覚させ自省を促す。それがこの雨浦監獄の方針です。辛いですけれど、私が刑務所に収監されるような犯罪者であることも事実です。この囚人番号と罪と罰を受け入れ今日も私は点呼をします。
因みにこの点呼、声が小さかったり誠意が足りなかったりしていると判断されるとやり直しをさせられます。先日私もやり直しをさせられました。
私は精一杯点呼しているつもりなのですが、看守にとっては満足な出来ではなかったのか何度も何度もやり直しをさせられました。罵倒されながら叫ぶ囚人番号と罪名と刑期。惨めさのあまり私の目からは涙がこぼれました。
そんな私をニタニタしながら眺める看守の態度は囚人に自省を促すというよりは虐めて楽しんでいるようで、反省の念より看守への不信感に満たされます。
っと、こんな事書いてしまうとまた反抗的だと懲罰を受けてしまいかねません。この刑務所の懲戒はとても厳しくそれについてはまたの機会に……
話が脱線してしまいました。今回は私の惨めな点呼姿ではなく、このnoteの挨拶を考える回でした。
このような内容だと私のことを反省していない不良囚人だと誤解されるかもしれませんが、私は自分が許されない過ちを犯した罪人だと自覚していますし、その罪を償わなければならない女囚であることから目を背けるつもりもありません。ただ、その償い方について刑務所側の思惑と齟齬があるだけで……それがイケないのかな。
ともかく、挨拶一つでも私が囚人であることはきちんと分かるようにしないといけないと思っています。外の世界でキラキラした充実OLの日常noteとは違うので(外の世界でキラキラした充実OLの日常noteを卑下するもではありませんよ!)
ちょっと考えてみましたーー
どうでしょうか。なんだかラジオDJみたいな気がしなくもありませんが……それに刑務所という場所が自由な感じに見られないかな……少し不安ですがとりあえずこれで行ってみましょうか。次回はこの挨拶で記事を書き出したいと思います。
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