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小説解説 #01|改元に浮かれた女囚の末路

こんにちは、735番こと長嶺茜です。今日も雨浦監獄から私のnoteをお届けします。

早速前回決めた挨拶文を使ってみましたがどうでしょうか……まだちょっとなれないですね。

今回は獄中記から少し趣を変えて小説解説、その記念すべき初回ですが、なんと私の雨浦監獄物語ではありません。現在pixivで1話だけ公開している読み切りの女囚小説になります。投稿順だとこれが最初になるんですよね。

改元を題材にしていますがこれはちょうど現実世界でも元号が変わった頃に書かれた小説です。当時の雰囲気なんかもちょっと織り込んでいたりします。

主人公は私と似た境遇ですが、刑務所に収監された元OLとなっています。女囚の私が別の女囚を解説。ちょっと不思議な感じですが始めていきたいと思います。


あらすじ

主人公の名前は斎藤香苗、囚人番号496番。酒気帯び運転で人身事故を起こしてしまい危険運転致死傷罪で懲役4年の実刑判決を受け、現在刑務所にて服役している女囚です。

刑務所名は明らかになっていませんが、刑務所生活の過酷さから雨浦監獄に似てそうですね。私はお会いしたことはありませんが、もしかしたら私と同じ雨浦監獄の哀れな女囚なのかもしれません。

因みに彼女の名前である香苗(KANAE)は私の名前である茜(AKANE)のアナグラムになっています。ちょっとした遊び心ですよね。すみません、話が脱線してしまいました。

私と同じく犯罪とは縁のない人生を送っていた香苗は、会社の飲み会後、気の緩みから飲酒しているにも関わらず車を運転。そして人身事故を起こしてしまいます。

現実世界でもお酒を飲んだら決して車を運転してはいけません。気の緩み、少しだけのつもりだった……そんなものは言い訳になりません。(私も人のことを言えた立場ではありませんが……)

酒気帯び運転に対する厳罰化の流れもあり香苗は実刑判決を受け、刑務所に収監されています。そんな彼女の数少ない楽しみであり支えになっているのが定期的に面会に来てくれる友人です。

その友人から平成から令和への改元について、それに伴って大型連休が発生することを聞かされ香苗は恩赦の可能性に期待を寄せます。

個人的に期待をするだけなら良かったのですがそれを他の女囚たちにも話してしまい、あたかも恩赦が決まったかのような噂で刑務所内は持ち切りになります。

ありもしない恩赦を期待する女囚たちによって刑務所内の風紀も乱れ、噂の根源であった香苗は懲罰を受けることになる。

というのがあらすじになります。

外とのつながり

公開鞭打ちや地下懲罰房で垂れ流しなど、香苗は苛烈な懲罰を受けましたが、この話の一番のポイントはその懲罰描写よりも外の世界にいる友人との対比になります。

面会のシーン。好きな服を着て長期連休の計画を楽しそうに話す友人。それに対して見窄らしい囚人服を着て、世間のカレンダーとは関係なく償いの日々を過ごす自分。

更には看守に番号で呼ばれて手錠を掛けられた姿まで友人に晒してしまう。外の世界と繋がることができる一方で自分の惨めさを自覚する葛藤に苦しめられます。

そしてそれは懲罰を受けることでますます強く感じます。鞭打たれ、臭く狭い懲罰房にぶち込まれ、糞尿を垂れ流す……

こんな人間以下の扱いを受けている頃、友人は海外旅行を楽しんでいる。同じ会社に同じOLとして勤めていた同年代の友人。ほとんど変わらない境遇だったのにほんの一つの過ちで天と地ほどの差ができてしまった。

どうしてこんな事になってしまったのか。香苗は懲罰房の床に転がされて激しい後悔の念に苛まれながら届かない外の世界に想いを馳せるのです。

拘束され懲罰房の床に転がされた私……じゃなかった、香苗。それにしてもやけに私に似ています。

外に世界憧れ、外の世界に苦しめられる

私も同じ女囚なのでこの辛さは痛いほど分かります。外の世界に触れたいけれど、触れようとすると自分の立場を思い知る。

結局今の私たちに外の世界は相応しくなく、しっかり罪を償って初めて外の世界に触れても苦しまなくなる、ということなのでしょう。そう思うと、この面会というシステムは囚人への報奨のように見えて実は懲戒なのかもしれません。

さて、小説解説いかがだったでしょうか。今回は別の女囚の読み切り小説でしたが、次回からいよいよ私のことを綴った雨浦監獄物語の解説を始めていきます。

同じ女囚小説とはいえ私のことではなかったのでどこか他人事でしたが、次は私自身の振り返り……生々しくて惨めで恥ずかしい場面が多数出てきますがそれを振り返るのもまた私に与えれた罰なのでしょう。

それではまた次回、よろしくおねがいします。

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