五月雑記
プランを変えてギガが無制限になった。
こんなにも自由なのか。
空を走り、陸を泳ぎ、海を飛ぶような心地だ。
買わなきゃシグナル3つ点灯でドラッグストアに行く。
・保湿ジェル
・トイレットペーパー
・
あと1つ。となると、自分から探しにいく。
・保湿ジェル
・トイレットペーパー
・バスクリーナー
点いた。
トイレットペーパーを買うためには開店から行かなければならないな、と思いながら眠りにつき、目が覚めるといつも通り15時で、これがいつも通りになってしまっていることに焦ったけれど、朝8時に眠りについた時点でもうこうなることはわかっていて、形だけの焦りを感じることで安心していることに気づき、焦った。
香り付きのピンクの高いトイレットペーパーは残っているだろうと踏んでドラッグストアへ行った。普通のトイレットペーパーがあった。拍子抜けした。隣の百均で3枚入りのマスクがたくさん売っていた。
少しずつ少しずつ日常に戻り始めている。臨時休業の店が開くのはいつだろう。レジの列の間隔を空けるための印が剥がされるのはいつだろう。このご時世…と聞かなくなるのはいつだろう。
商店街のテイクアウトを全部買ってみる前に終わっちゃったな、と思いたい。
時間が出来た芸人が、YouTubeやnoteや料理や楽器や英語や粘土や版画やレジンやちぎり絵など色んな試みや趣味や試みとしての趣味に取り組んでいて、私も前からやりたかった公募に取り組んではいるものの大喜利の延長線でしかなくて、生活に新たな彩りをもたらすようなものには取り組めていない。
生活の色褪せたところを染め直す取り組みはしている。
棚とテレビとテーブルの位置を変えた。どうぶつの森だ。
ラグの位置を部屋の壁合わせではなく寝転び合わせに調整した。パズルゲームだ。
棚を整理して空いた段に、上京するときに持ってきてそのまま仕舞っていた宝物箱のこまごまとしたものを飾った。ミッケ!だ。
幸せの味が薄くても楽しいのは幸せだろうか。幸せであってほしい。
百均は魔法の道具屋だ。
ちょっとした飾り物ももちろん素敵で魔法のような輝きをもっているが、確かな魔力を秘めたものは地味な姿をして棚で息をひそめている。
泡立てネット。
これは、すごい。
洗顔フォームをネットに少し出して、軽くお湯をかけて、泡立てる。ずっと手のひらに乗せて撫でて名を付けて愛でていたいほどの濃密な泡が召喚される。それをそっと両頬へ。天国。雑念や欲が光で洗われる心地。乗れる雲は届かぬ世界にあるが触れる雲はここにある。
これで肌がきれいになりました、ではない。芭蕉も白目を剥くほど生活リズムが乱れているのでそれは望めない。
ふわっふわもっちもちで気持ちいい楽しい、ということを伝えたい。
これがたったの100円(税別)で、というのがまた良いのだ。安いのに良いものを選び取ったという充実感。ゾロがローグタウンで安物のなまくら刀がたくさん挿された樽から業物・三代鬼徹を抜き取ったのと同じ、いや違うな。
これからも百均で色々な魔法の道具を手に入れるだろう。用途の狭い道具を買って使いこなせずがっくりするのもまた一興。幸せだ。
支援していただけると嬉しいです。 きらきらの物を触って手にきらきらが付いたときくらい嬉しいです。