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知見体験
午前8時、壁を壊す大音で目を覚ます。2日前からリビングのリフォームが始まっている。あと廊下の壁と。
実家の大リフォーム。いわゆる今どきの空間になるリビングと一部屋減る和室、変わる間取りに「実家」という存在が薄れてしまいそうで、哀愁が漂う。
彼女から「お気持ちはどうですか」と聞かれて、「なんか新鮮な気持ちです」と返したけど、一掃されたリビングと廊下を圧迫していた兄弟の賞状を飾っていた額縁が外されたことに新鮮さなんて無いと気づく。畳の下からはデュエマのカードが出てきて、取り出しても埃を纏っているだけで何の輝きもない。ただのノスタルジック
ひとりリビングに立ったままの冷蔵庫。
今なら彼女には「少し寂しいです」と返すはずだ。
強面のハツリ屋に少し会釈をして、やっぱいかついなと再確認する。如何せん解体屋の作業ぶりを見れば恐れは増すばかりだ。ただ知っている、彼らの人当たりときたらどのサラリーマンより、どの主婦よりも素晴らしいのだ。義理人情が太厚い。
コンビニエンスストアで得た知見。
リビングの奥にある和室で食事を取る生活で、移動させたテレビや電子レンジその他の物量を詰め込んだ部屋は知らないおばあちゃんちを彷彿とさせた。手に届くとこに全てあるってやつか、
そんなもので埋め尽くされた和室にて母とオセロをする。先日よりオセロに熱中している。
一勝一敗で持ち越しとなったが、この日記を書き終えればまた1人で熱中しているだろう。オセロより少し前に始めたルービックキューブは唯一揃った一面を正面に置かれたままだ。その分オセロは熱中するさ
寂しさは変わらないが、部屋が出来上がったらそれはそれで興奮するだろうし、何せ母の待望であるため致し方なし。新たな空間に期待を抱いて。
空間でいうと、酔いに酔ってハンモックに揺られると宇宙へ行けます。
リフォームされない部屋で得た体験。