たたみかけるように雨が降っている
蠢く心臓が鼻から飛び出して
のっぴきならない未来が待ち受けている
波動はさらさらしており
肝心な眼が見えない
見通しの明るい明日が向こうからやってくる訳ではなく
暗闇を探り廻り掘り当てた道に見える明かりが
わずかばかり白を感知し
辿って行けば
山と海が動き出す
変わらない話は
大勢の耳に浸透し
みな双子となり、分かり合える
しゃらくさい
天空から地面が落ちてくる
降り注いだ砂は雨のように降り
イエローのパラソルの下グリーンティーを呑む
草の香りが鼻腔を掠め異物感を感じた
心臓か?
心臓か?
空は茶色く、土っぽい匂いがする
微生物たちが蠢き合っている
天気予報は雨
ちょろっと降ったと思ったら、ざざっときた
ぶるとひとつ身震いし
寒いなあとひとりごちた
それがまた寒さを助長した
独り身には堪える
雨が降って欲しいときに雨は降らず、雨が降って欲しくないときに、雨は降る
雨はたたみかけるように降る
気温は低い
雨はくうきをひんやりさせ、生き物の動きを冷やす
緩慢になった生き物はスローモーションで踊る
ぎこちないステップがあなたの体に触れ
蒸気みたく愛が
顔にかかる
たたみかけるように雨が降っている 雨は止まない 降り方は激しい 涙も止まらない
時刻は午前二時 こんな夜更けの道端の真ん中で 土砂降りの中 佇んでいる
べちゃべちゃの地面を睨みつけくそッと吐き捨てた ざざッと雨が降った
長い間思考し
感覚が消えたとき
ようやく動くことができた
不思議と涙は乾いた
今日は金曜日
明日の天気予報は雨
雨 雨 雨
たたみかけるように雨が降ってくる
しめっている
湿り気がそらへくもへ固まり 雨を降らす
循環は廻り巡り
頭へ雨を降らす
雨足は伸び続け、こころに到達し、濡らし、浸透し、栄養となる
先走った雲から、不埒な液体が滴り落ちる
雨 雨 雨
愛の雨がぽたぽた
飛沫を上げ
徐々に激しくなり
洪水となる
雨は止まない
むしろ強くなるばかりだ
梅雨のような真冬
凍える雨がこちこちと
真っ白につらぬくように降っている
雨は止まない
今、だれかが 必ず 泣いている
だれひとり泣いていないときはない
たたみかけるように雨が降っている
茶色いそらは雨と土が混ざり含まれた命が生まれては消える
混合された生命はどろどろと増減を繰り返し
あったりなかったり
どッ どッ どッ と
溢れる! 溢れる!
溢れるって!!
白濁した雨が地面に穿ち、こぽこぽと音を立て、溢れ返った雨は、大海となり、大海原はしずかにしずかに涙を流す
白い濁流は一点のみ明日を見せる その連なりが 永続的に 循環し 廻す
たたみかけるように たたみかけるように たたみかけるように 雨は降っていた
降っている
動き出した山と海はむつみあい深深とお辞儀した
太陽は応え地球が揺れ動いた
溢れ切った雨が心臓に流出し水浸しになったこころははやかれおそかれ明日へと連れていってくれるであろう
明日へ
すべての明日へ
雨が降っていようが、ずぶ濡れになろうが、雨は降り続け、止まない、雨は止まない、たたみかけてくる、ざーざーと明日へ明日へと
くどい程に
終わったと思ったら終わっていない
終わることなどない
たたみかける雨のように
心臓が止まっても雨は止まない
雨が止んだとき、世界が終わる、涙は止まらない、世界は終わらない
果てしない循環の中で、もがき、くるしみ、よろこび、感知した抒情は紛れもなく
明日へ明日へと続いていて、何もかもが止まっても、止まない雨というものがある
止まない雨はないなどだれがいった
世界が滅んでも雨だけはずっと降っている