迷宮だがや!
地下街はよく迷宮だといわれる。名古屋の地下街も数ある迷宮の内のひとつに数えられるだろう。
「ここは何処だ?わたしは誰だ?」
「いや、織田さん、名古屋の地下街ですよ」と豊臣。「記憶喪失にならんといてくださいよ」
「こんなもん、記憶喪失にもなるやろ」徳川がいった。
「いやいやなりませんって」豊臣がいう。「名古屋の地下街きたらコンパルゆかないけませんって」
三人はあっちいったりこっちいったり迷宮を彷徨っていると『コンパル』の文字が眼に入った。
「ここは何処だ?わたしは誰だ?」
「いや、記憶喪失ならんといてください。ここがコンパルですって」
「こんなもん、記憶喪失にもなるやろ」
「だから、なりませんって!」
コンパルに入ると混み合っていたが、丁度三人が座れる席があったので案内された。
「どれにすればいいんだ?何がいいんだ?」と織田。
豊臣が「コンパルいったらもう決まってます。エビフライサンドとアイスコーヒーです」
「名古屋名物だで?」と徳川。
トーストに挟まれたエビフライがカットされた断面を上に見せたサンドイッチと、ホットコーヒーと氷の入ったグラスが運ばれてきた。
「おお、エビフライがサンドされとる!」
「ホットコーヒーを氷の入ったグラスに注いで自分でアイスコーヒー作るんかい!」
エビフライサンドもアイスコーヒーも美味しく頂き三人はお会計をし店を出た。
「ここは何処だ?わたしは誰だ?」
「記憶喪失ならんといて!」
「こんなもん、記憶喪失にもなるやろ」
「ならん!!」