【本26】聞く力
阿川佐和子さんがインタビューの時に気をつけておられることがまとめられています。
数々のインタビューをこなしてこられた阿川さんの体験談もたくさん書かれていて、その独特の表現がとても楽しく、スイスイ読める本です。
インタビューに限らず、普段の会話でも意識しておきたいことが書いてある本です。
☆本の内容☆
○聞き上手とは
・面白そうに聞く
相手が「この人に語りたい」と思うような聞き手になれば良い。
・メールと会話は違う
表情や動作とともに言葉が伝わってくるのと、画面の文字だけの場合とでは、ずいぶん印象が違う。
・自分の話を聞いて欲しくない人はいない
・質問の柱は3本
「質問は一つだけ用意する。当然次の質問をその場で考えなければならない。次の質問を見つけるためのヒントはどこに隠れているだろう。隠れているとすれば、ひとつ目の質問に答えている相手の、答えの中である。そうなれば質問者は本気で相手の話を聞かざるを得ない。そして、本気で相手の話を聞けば、必ずその答えのなかから、次の質問が見つかるはずである。
テーマを3つくらい考えておくと良い。
・「あれ?」と思ったことを聞く
・観察を生かす
・段取りを完全に決めない
自分できめつけてはいけない。こっちの話が面白いに違いない。あっちの話はそんなに面白くないだろう。聞き手が勝手に決めつけることが、どんなに危険であることか。
・相手気持ちを推し測る
人間同士、とりあえず相手の気持ちを聞ける余地を残しておく。
相手の気持ちがどこらへんにあるか。恐る恐る推し計りつつ会話を始めることが大事。
・自分ならどう思うかを考える
「私なら、そんなとき、どう思うだろう」
自分と同じであることを「正しい」とか「当然だ」と過度に思い込まないようにさえすれば、目の前の人が、「私」とどう違うのか、どのくらい近いのか遠いのか、を考える。
・上っ面な受け答えをしない
人生において、誰かの「一言」がどれほど大切なものであるかを考えるとき、ほんの小さな相づちも「きちんと打たなきゃダメだ」と肝に銘じる。
○聞く醍醐味
・会話は生ものと心得る
だから予定通りには、まずいかない。そして予定通りにいかない方が面白い。
・脳みそを捜索する
抽斗の方向性を多少なりとも双方で認識しておくと、会話のまとまりが良くなることは多い。
人間が人間と語り合う会話だからこそ、どこへでも飛んでいき、どこで何に気づくかは計り知れない。
そのときの気分やそのときの部屋の雰囲気や風や光によって左右されるかもしれない。
聞き手のさりげない反応によって、なにかを触発されることもある。
・話が脱線した時の戻し方
「脱線した話」に、よーく耳を傾けて、じっくり聞いて、とことん楽しむ。
・みんなでウケる
「自分の話を面白がっている人がいる。ちゃんと聞いて反応してくれる人がいる」と感じれば、人は話をしやすくなるもの。
・最後まで諦めない
・素朴な質問を大切に
・お決まりの話にならないように
・聞きにくい話を突っ込むには
・先入観にとらわれない
「きいてみなきゃ、人はわからないものだ」
○話しやすい聞き方
・相づちの極意
話をきく。親身になって話を聞く。ただひたすら「聞く」。そうすれば、人は自ずと、内に秘めた想いが言葉となって出てくる。
・「オウム返し質問」活用法
概して驚いたときに使うが、その言葉を再度、ピックアップして叫ぶことによって発した語り手自身の心を喚起させる効果があるのか、「オウム返し」の次につながる答えは、その言葉をさらにかみ砕いた話になることが多い。
・初対面の人への近づき方
人にはそれぞれの愛想の作り方というものがある。そしてそれほどに、人によって初対面の人の前での構え方が違うということをよく承知しておくこと。
・なぐさめの言葉は二秒後に
相手が謙遜のつもりで卑下した言い方をした時、あるいは自分を否定するような発言をしたとき、それに対して、どの言葉を使うのが最も適切であるか。
そこにはたぶん、決まりはない。言葉でなく、その言葉に込められた気持ちがきちんと伝わりさえすれば、相手の心を安心させられる。
・相手の目を見る
自分が話をしている時に、相手の視線がキョロキョロしていたり、こっちを見てくれていなかったら、どんな感じがするか。
相手の話を聞くときも、同じ思いをさせないように。
・目の高さを合わせる
相手より高い視点から話をする。相手の前で腕を組む。この二点は特に気をつける。
・安易に「わかります」と言わない
他人の気持ちがそう簡単に分かるはずはない。だから人に対して、「分かる、分かる」と容易にいうものではない。そして「分かる、分かる」というような人のことをたやすく信頼してはいけない。
・知ったかぶりをしない
・フックになる言葉を探す
・相手のテンポを大事にする
沈黙が続いたとき、じっと待っていると相手の心や脳みそがその人なりのペースで動いていると感じられることがある。
そのペースを崩すより、静かに控えて、新たな言葉が出てくるのを待つ。