初恋VS赤いたぬちゃん その4

その3の続きです。ではどうぞ。


赤いたぬちゃんは、ラブレターの中身を

考えに考えまくった。


考えすぎて、あえて下ネタで押そうかと

奇天烈なことも考えた。


授業中も、ウイイレしてても、カップ麺を待つ3分も

常にラブレターの事を考えた。


寝る暇も惜しんで考えた。


その時期もやはり10時間ぐらいしか寝れなかった。



便箋の色も緑か青か白で死ぬほど悩んだ。

こんなクソどうでもいいことで何日も悩んで青にした。


ただの手紙の色を考えたり、

想いを活字にすることの難しさを目の当たりにしたあの頃は

まさに青春だった。


「できた!これで完璧でしょ!」


注)実はこの手紙、本当に何日もかけて考えたのに

内容全く覚えてないんですよ。驚くほどに。

コピー取ってればよかったと今になって後悔しています。

ひとつだけ覚えているのは名前がわからないので

宛て名をどうしようか悩んだこと。

結局そこは空白にしました。


何日もの夜を超え、やっと完成!

魂の一通!よっしゃー!

できたー!俺はやったぜ井出さーん!


注)井出さんが誰かわからない人はその2を読んでください。


よし!あとは渡すだけだ!


ここで一句。


『下ネタは 使いどころに 気を付けろ』


そして迎えた朝、赤いたぬちゃんは

宛て名のない青い便箋片手に

キノコのいるバス停へと向かった。

弟の香水を体中に付けまくって。

そしてそこには

いつものようにキノコがいた。


震えた足で一歩ずつ近づく。


どこかで鳴った車のクラクションが


赤いたぬちゃんには「はじまりの音」に聞こえた


つ・づ・く

あーあ、いいとこで終わっちゃった。


では、また。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?