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日韓歴史問題 大ヒット記事を公開!

 

日韓関係を戦後最悪にまで貶めた韓国・徴用工裁判。日本政府は「日韓請求権協定で解決済み」とし、現在も解決には至ってない。だが、実は韓国内でも異論を唱える声が噴出していた。脱・反日種族主義に揺れる彼の国の実態とはーー。

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徴用工判決から1年

ついにパンドラの箱が開かれた。

2019年10月30日、韓国大法院(日本の最高裁にあたる)が元徴用工への賠償を日本企業に命じた判決から1年。この日は日韓断絶のトリガーとなっていた徴用工問題について、あらゆる厄災と問題が噴出した一日となった。
まず活発な動きをみせたのが、日本を批判する勢力だった。
元徴用工の原告らが記者会見し、日本政府や企業に賠償に応じるよう改めて求めたのだ。

「1日も早くわれわれに謝罪してほしい」

元徴用工の一人は会見でこう訴えた。大法院判決後、日韓政府の動きが停滞をしていることを受けて、強く日本側の対応を求める言葉を並べた。
 また日本企業相手の新しい提訴も起こされた。徴用工裁判の支援団体が明かしたところによると、熊谷組と古河機械金属の2社を相手取り、ソウル中央地裁に訴訟を起こしたという。1周年を契機として、さらに日本企業相手の裁判を乱発しようという構えを見せたのだ。

それだけに止まらず、支援団体は国連人権理事会に「陳情書」を提出したことを表明、日本側へ賠償するよう圧力をかけることも明らかにした。こうした徴用工裁判の支援団体が反日市民運動家に牛耳られていることを、私はこれまで繰り返し指摘してきた。

彼らはその反日思想を体現するかのように、内外から揺さぶりをかけ、日本政府や日本企業を追い詰めようとする戦略を10月30日に一斉に展開した。


「併せて支援団体らは現金化が、『書類手続きの都合』で2月(後に4月総選挙後と再度先送りになった)にまでずれこむという見解を発表したのです。これも一つの“戦略”じゃないか、という声が記者の中では上がっていました」(ソウル特派員)

先送りされる現金化


 昨年の大法院判決を受けて、原告弁護団が日本企業の差押を強行した。その差押資産をいつ現金化するのかというのが、日韓関係の中で一つの焦点となっていた。


「疑問の声が上がったのは、何度も順延が繰り返されたからです。当初、差押資産の現金化は8月に実行されるとされ、その後年末から1月にかけてと順延された。そして今度は2月に先送りです。いずれも『書類の手続き』というのが理由でした。

 現金化をしたら日韓関係は“終わり”だということは、日韓政府も支援団体も皆わかっている。誰もそこまでは行き着く勇気はない。そこで支援団体らは、批判記者会見を行い、日本企業への追加提訴を乱発しプレッシャーと圧力をかけ続けようとしているのではないかと疑われているのです。つまり日本政府から譲歩とカネを引き出したい。そのために現金化を先延ばしにして時間稼ぎをし、日本政府が屈するのを待っているのではないかという見方が出てきているのです」(同前)
 
 一方で日本政府は、徴用工判決については徹底抗戦の構えだ。

「朝日新聞が報じたところによると、日本政府は現金化が実施された場合、国際司法裁判所(ICJ)への提訴と韓国政府への賠償請求を検討しているというのです。現金化が行われればホワイト国問題に続いて、日韓政府は泥沼の報復合戦に突入するということなのです」(同前)

 あたかも30日は反日一色であるかのように、日本メディアでは報道された。しかし、その影では実は新しい動きも起きていた。韓国人被害者たちが、反日運動家や韓国政府に対して反撃を始めたのだ。

市民団体と被害者団体が衝突

 反日運動の象徴となっているソウルの日本大使館前。徴用工判決から1周年の30日は、計らずとも水曜日だった。それは反日市民団体である挺対協(現・『日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯』代表・尹美香(ユン・ミヒャン)が主催する水曜集会が行われる日だった。


 挺対協が記者会見を行う一時間前、これに先立ち「アジア太平洋戦争犠牲者韓国遺族会」など強制徴用の被害者や遺族、支援者らでつくる連合団体が日本大使館前で記者会見を開いた。そして徴用工など被害者への賠償問題の解決を訴えた。


彼らはこう切実な実情を訴えた。
「大法院判決によって韓日両国が“平和的”に問題を解決すると期待して待ったが、両国政府が解決の努力より政治的手段としてのみ利用している。徴用工被害者の個人請求権の補償は韓国政府の(負うべき)責任が大きいと考えます」

 つまり彼らは、まず韓国政府が被害者や遺族らに対して先に補償すべきだと主張したのだ。その考えの背景には日韓条約を遵守したいという思いがある。そして被害者を中心とした財団を設立することなどを韓国政府などに要求した。

韓国政府の責任

会見に出席した「アジア太平洋戦争犠牲者韓国遺族会」の崔容相・事務局長が語る。
「徴用工問題にしても、慰安婦問題にしても解決を妨げているのは(反日)市民活動家であり、韓国政府なのです。私たち被害者、遺族を無視して、日本叩きばかりを行っている。いま本当に困っているのは、日韓関係が悪化して解決の途が見えなくなっている被害者・遺族です。市民活動家に牛耳られてしまった徴用工問題や賠償問題を、本当の被害者達のための活動に戻さなくてはいけない。そのために私たちは市民活動家たちと闘うことを決意したのです」

崔氏らは300人の被害者・遺族を集め、「まず韓国政府がまず補償すべきだ!」という声を上げたのだ。

終わりのない日本叩き

 1時間後、同じく約300人規模の人数を集めた挺対協も記者会見を開く。そして被害者たちとは、真逆の主張を繰り広げた。

「日本政府に対して戦争犯罪を認めて公式に謝罪し、法的賠償を行うよう要求する! 日本政府は日本軍慰安婦に関する歴史を隠蔽(いんぺい)せずに正しく記録し、教育せよ! 私たちはどのような迫害にも屈さず、日本政府から必ず公式謝罪と法的賠償を受ける!」

集められた300人は小・中学生を含めた活動家や動員された人達だった。

「被害者でもない人達が、なぜ被害者の声を勝手に代弁するのでしょうか? 被害者や遺族はもう上は90代と高齢なのです。もう残された時間はない。それなのに活動家たちは、終わりのない日本叩きばかりをして、被害者の救済を遅らせるばかりなのです」(崔氏)

 そして崔氏らの切実な声は、初めて「朝鮮日報」などの韓国の主要メディアでも報じられるようになったのだ。これまで韓国主要メディアは市民活動家や支援団体の「日本は謝れ」という声ばかりを報じてきた。韓国メディアの一面的な報道は日韓関係悪化の一要因でもあった。被害者が意を決して行動を起こしたことは、そうした状況に楔を打ち込む効果があったようだ。

新たな闘いが始まった

 開かれたパンドラの箱。それは日韓対立だけでない新しい構図が歴史問題の中に存在することを、韓国国内にも知らしめた。

会見、訴訟を乱発している反日市民活動家・支援団体が、実は被害者を利用しているだけで、自らにメリットを誘導し”儲けている”だけの存在であることへの不満が充満している。それに対して、本当の被害者たちは、韓国政府の責任を問う意見を表明し、市民活動家たちへ異議の声を上げ始めた。

10月30日に起きた様々な出来事は、矛盾に満ちた日韓葛藤の構図を浮き彫りにした。
 崔氏は「日韓が対立しても何も解決しない」と呟く。歴史に翻弄され傷ついた人達は、本心では国同士の諍いを望んではいない。それがいつか辿った戦争への道でしかないことをよく理解しているからだ。


残された希望を求めて、本当の被害者たちの闘いが始まっているーー。

文 赤石晋一郎/ジャーナリスト

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