嫌いな人たち
わたしが素直に、心のままに生きたら、誰も友だちでいてくれないと思っていた。
今まで押さえつけていた、一生分の嫌いが溢れてくるから、取り出してみたり包まれてみたりする。
思ってもいい。言葉にしてもいい。もういいよって呼ばれたら、稚魚のように元来たところへ放す。
すべてわたしの意図したように、計算と工夫で、努力して手に入れたものだとしても。
望んでもらえた奇跡があったように、知らない誰かがわたしの歌を口ずさんでくれることもあるかもしれない。
レインコートに水たばこの甘い香りがまだ残っている春の夜。
暗闇のなか、膨らんだチューリップが不安げに揺れている。
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