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日記0630あるいは換金監禁

不思議なことに加害者に対する同情の声が集まる中、私はただただ困惑していた。腹を立てていた、と言い換えてもいいだろう。

彼女は生まれながらの被害者だった。どんな状況であろうとも、幸福の真っ只中でも悲劇のヒロインを演じられる。そして、大衆はその涙を盲目的に信じてしまう。

「吐き気を催すよ、君は邪悪だ」

彼女はぼんやりした顔をしている。心ここにあらず、といったところか。危うく私も騙されるところだった。


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