〈さくらんぼを纏う〉
山形県は、さくらんぼや西洋梨が植樹され来年で150周年、としている。
ここ東根でも、隆盛な果樹。
宿場町として発展した東根、桑や煙草産業を経て戦後、果樹、工業が盛んになった。
昨今の気象状況や、農家の後継者不足により、果樹産業の今後の状況は非常に危ういと思ってはいるが。。
さて、そのフルーツ150周年に向けて山形県ではプロモーションに様々なプロダクトを考えているようで、そのひとつに、さくらんぼの剪定した枝 を使っての 紙 生地 の制作を試みたようで、(自称)ファッションと言ったら俺だろうということで、早速、寒河江の佐藤繊維に行ってきた。
例の生地を見せて欲しいとお願いしたところ、持ってきてくれたのが友達だったことに驚いた。(めぐちゃんさんきゅー)
生成り色で見慣れた感じのしたそのニット生地は、麻70%、和紙30%で、その和紙に さくらんぼの枝 が配合されている。
ポロシャツとカーディガンを試着させてもらった。
いつも着ている麻の感覚と殆ど変わりはなかったが、まるで全粒粉麺みたいに練り合わさっているさくらんぼの枝を思うと、農耕民族の魂が沸々と湧き上がってくるようだった。
燃やされて灰になるだけの剪定枝が、糸や紙に生まれ変るアップサイクル。
髪の毛と同じで、ボサボサと生えてくる枝を切ってはまとめ、一輪車で運ぶ。
おっきな穴まで運んで焼いていたあの枝を纏う。
自然の恵は無駄なく消費する。
人間は自然の恩恵を受けながら生きながらえている。
自然の摂理を追い越すことなど不可能。
このさくらんぼ繊維という素材で、いつか装備品を作ってみたい。