怖いエレベーター
子どもの頃、日本橋の三越にあるエレベーターに乗るのが怖かった。エレベーターのドアには外側のドアとゴンドラ側のドアがあるが、三越のエレベーターは内側のドアが鉄格子のようだったからだ。エレベーターが動くと、ゴンドラの中から直接エレベーターシャフトの壁が見える。それがなんだか怖かったのである。
ダリオ・アルジェントの映画にはエレベーターが何度も登場する。
例えば『わたしは目撃者』『サスペリア PART2』『サスペリア』『インフェルノ』『トラウマ』など、さまざまな使われ方をしている。
その中でも『サスペリアPART2』のエレベーターは最高に恐ろしい。『わたしは目撃者』のエレベーターも恐ろしい。
だが、恐ろしいけれども、どこか懐かしい気持ちになる。壮絶なラストシーンは子どもの頃に乗った三越のエレベーターの思い出とシンクロするのである。