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駄菓子屋みたいなエッセイを読んだ

赤染晶子『じゃむパンの日』を読んだ。

1974年京都に生まれ、2017年に若くして亡くなった芥川賞作家のエッセイ集。2022年に個人出版社のpalmbooksから発売された。装丁が質素ながらも可愛らしい、素敵な本だ。

勤め先でのこと。一緒に暮らしていた祖父母のこと。祖父母の若い頃のこと。小児病棟のこと。生きてきた日常から切り取った瞬間を美しく可笑しく立ち上がらせるような文章だ。

一文一文は短くテンポが良い。とりとめのない淡々とした文章のようで、蓮っ葉さやユーモアが顔を出す。つい声を出して笑ってしまう。これが関西人の血なのだとしたらそれは鮮やかにドクドクと流れている。一方で「関西人」を客観的に見た文章もおもしろかったりする。冷静に書き連ねた文章の中に、鋭い観察眼が弾けて可笑しみを醸す。

昭和の話も多くて、平成生まれの私には馴染みのない部分もあるけど、それでも「なんか懐かしい」感覚をちゃんと伝えてくれる。ちょっと可笑しくて可愛らしい小さな一篇一篇を読んでいると、駄菓子屋で色とりどりの駄菓子を眺めているような気持ちになる。

四つ葉のクローバーを見つけたときのような小さな幸せを感じられる、日常に疲れたら時々開きたいエッセイだ。

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