懐郷病者

ダイアルを三と六と急に合わせて
珈琲は時を表す為の小道具
妖しい夜に身を纏い
古びた小屋から出す地図
木箱には砂にまみれたあの頃
寄せて返す波は悲しい
波風立ち海風過ぎカモメを見ながら
浜辺歩く足は遠し…消えて

割烹着の母の面影を探して
緩やかに流れる日溜まりの光線
何もかも平和な季節
視線は私独り占め
家族写真それだけは真実
思い溢れ過去の洪水
押し出された新たな時 鳩時計鳴って
浅い眠り記憶再び…消えた

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