人生ってなんだろう(15)

ルドルフ 猫の目をくるくる追う

高校の卒業記念に、娘にケンジントンキャットと呼ばれる陶器の猫を、プレゼントいたしました。
英国のウィンスタンレイ女史が造るかわいらしい陶器の猫です。英国では“ウィンスタンレイキャット”と呼ばれているそうです。なぜ日英で呼称が異なるかは良くわかりませんが、製作者の名前か製造している事業者の名前の違いなのかと思っています。他にも品物を考えはしましたが、高価なものは自分の力で買うのがよろしかろうと、思案の末、この陶器の猫を購入いたしました。英国在住の個人通販サイトより、確か8000円ほどで購入した次第です。

なぜこの猫なのかと申しますと、この猫の瞳が、「キャセドラルアイ」と呼ばれるガラスの瞳となっている点にあります。この瞳により、どこから見ても猫の瞳と目が合ってしまう特徴を持っております。
この「キャセドラルアイ」は、「キャセドラル・ガラス」と呼ばれる、古いステンドグラスを溶かして作られたものを、目の底部に瞳を描き、そこに落とし込むことで"ホロウマスク錯視"を作り出しているとのことです。
ホロウマスク錯視(ホロウマスクさくし)をWikiで調べると
“凹面の顔が通常の凸面の顔として認識される錯視のひとつである。”と書かれており、凹凸を仕込むことで錯覚させる視覚効果の一つのようであります。確かに届いた猫を見ると、どこから見てもこちらを見つめているように思えます。ただ購入時に注意すべき点は、和猫と洋猫の違いなのでしょうか、日本人に馴染みの深い、丸くて平たい感じの顔の猫は少なく、細面の野性的な感じのする猫が多いところかもしれません。
選びぬいて我が家に来日した猫は、和猫スタイルのかわいらしい茶猫でありました。

娘にケンジントンキャットを手渡した後、この様に伝えました。
「これからは、毎日勉強したことや起こった出来事を、毎晩この猫に教えてあげるんだよ。そのうちに、この猫があなたにどうして、なぜって質問してくるようにきっとなるから」と、なにやら摩訶不思議なことを話した次第です。

別に不思議な儀式を執り行なう意味ではありません。毎日の勉強や出来事を自分なりにその都度、振り返ってほしかったからであります。一般的には「振り返り」「内省:リフレクション」などと言われますが、今日勉強した成果、今日起こったありのままの事実を客観的に捉え分析し、他人へ伝えることで自分自身を客観的に評価する。そのような訓練をしてもらいたかったのであります。つまり、発生した事実と自己の感情を切り分けて考える訓練であります。“そのうち猫が質問してくるよ”という意味は、自己に内在する不安や疑問が猫の口を通して、自問自答する日が訪れるかと思った次第です。

自分自身を上手にコントロールすることが、これからの人生において必ず必要なことですからね。
ただ儀式に走って、猫神様とか言い出したら困るけどなあ。

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