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なんといえばいい雲か

この雲の中にいろいろな雲が寄せ集まっている

目の錯覚だよ

寄せ集まった奇怪な雲を見る目がインプットされて

単なる雲なのに頭に中で想像して決めかかっているから

奇怪に見え

形を想像してしまうのだという

違う違う

冷静に見つめると錯覚ではない

この写真は10年も前に撮って保存していた

公表することに怖気ついていた

この雲を撮った後

親友がバタバタと急ぐように旅立っていったから

何かの怨念が雲にのしかかっているのだと

今は怖気つくことが消えていた

がんという病を医師から宣告された時に

腰が据わった

初期の段階で手術も投薬もしない

自然の進展に任せて生きることに決めた

いずれは死ぬ

急ぎ旅だけはすまい

余命は100歳まで生きながらえることだ

善人は早死にする

善人になろうとは思わない

家族も頑固な意地をわかってくれた

普段通りの生活、普段通りの食事

春が来れば、夏が来れば

長年登りつづけた山に足を踏み入れるのが一つの生きがい

朝起きて

生きてるぞ、生きてるぞ

と独り言をいって雨戸を開けて新鮮な空気を吸いこむ

誰だったか忘れたが

雲仙人、と呼ばれはじめて久しい

毎日空を見あげ、雲を見るからか

笑うこと・運動すること・十分な睡眠をとること

怒ったりはしない・感情的にならない

人には親切にする

家族にはもっともっとやさしくする

自分に甘える感情が少しでも見えたらカッー!、と一喝

これが自分に課した日課

病のことは眼中になく

あるのは雲ばかり




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