ノルウェイの森を聴きながらドライブ

彼が乗っていたのは
黒のミニクーパーで
今は廃盤になってしまったあの極狭の
アンティークのような可愛らしい車だった。
地方都市にUターンしての就職だったから
車は移動の必需で
週末となると静岡walkerだったかるるぶ静岡だったか
でえと特集をみてはあっちのカフェ、こっちの観光地と
2人で出かけたものだった。
海も近かったから、ボディボードをはじめた彼を
浜辺で本を読んで眺めたり、
夕飯の買い物も車で2人でよく行った

あ、1回オカマ掘られて交通事故にあったこともあったな。

超重ステで笑
確か手動で窓ガラスを開閉した記憶も?エアコンもなし?
スムーズな走りを保証するものではなかったけど
若かったから笑なんとも思わなかった。


互いに、長く異性とお付き合いしたのも初めてで
彼も初めて購入した車だったし
互いに新入社員だったし
互いに初一人暮らしだったし
色々と初めての多い時間を車と共に
過ごした2人だった。

2台目の車は、紺のBMWだった。
左ハンドルだったから、助手席に座るとカーブを曲がる時に
ぶつかるんじゃないかと怖かったことを
ヒヤヒヤ覚えている。
何処へ行っても、停めても、いい車ですねと言われて
そういう時代だったんだと思う。

とても綺麗な仕草で食事をする人で
毎回それを感心して見ていたのを覚えている。
とても静かで優しい人だったけど
何故だかは思い出せないけど
私がとても酷いことを言って怒るというより悲しませてしまって
お別れした。若いって乱暴だ。

時は移り
車はトヨタのプリウス黒。
栃木群馬まで夜の明けぬうちに車を走らせ
釣りが趣味で車を山中に乗り捨て
熊よけの鈴をつけて沢を登り
アウトドアライフを楽しんだ。

と思ったら、暫くしてして、彼から

1番好きなのはチコちゃんだけど
実は自分は今組んでるバンドの女ボーカルと同棲していて
ボーカルの才能が凄くて自分のギターテクじゃ
本来は一緒に組めないような人だから
彼女との関係は解消できないと泣きながら
白状しはじめて、で?何?って言ったら、
ゴメンっていうから、お別れした笑。

東京に住んでいるので
車はなくても移動には全く不自由しないし
持ち車率は下がる一方だという。
車の固定費を考えると、レンタルの方が
リーズナブルであろうと思う。
ただ、車があって初めて成り立つ物語があるのも事実で
車でなければ辿り着けない景色もあるし
ドライブの、濃密でしかしダラダラとした
特に何をするでもない時間が
(あ、御免なさい運転は大事なお仕事です。横座りしてるのがバレる。私も免許は持っているのですが、頼むから運転しないでくれって言われるんです)
2人に快適かが
結構2人で長くいられる理由だったりもする。


そう。これを書いたのは
明らかにドライブマイカーの影響です。
似ても似つかぬ非なるものですが。


改めて思い出してみると
毎回私がフラれてるな!
アレ?そうだったけ笑


音楽はドライブマイカー、と思ったのだけど
同じアルバムから
村上春樹さんの同名の小説を思いながら。ノルウェイの森。
ホントは森じゃないみたいだけどね。
ま、いっか。

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