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母娘サニーデイサービスを語る

クラブクアトロって小さい箱なんだねえと
今更だけどと
バンギャの長女にライブから帰って呟くと

インディーズバンドが御用達にするような箱だよと
ニベもない返事だけど
それは愛あっての辛口で
彼女はロックを音楽を愛してやまないことをママは知っている

グレープバインとサニーデイサービスが
対バンでやるような箱?
なにかの間違いじゃないかと思うくらいだ

ワンマンでホールだって満杯にできる彼らが
何故そんな小さな箱で敢えてのステージなのか

人のすることには勿論意図があって
クラブクアトロ35周年
バンドマンは恩義に熱いのだ
売れる前の道程で
お世話になった人たちを忘れない
何度も何度もクアトロ35周年おめでとうおめでとうと
曾我部さんも田中さんも叫び散らかしていた

サニーデイの曽我部さんはメジャーデビューがクアトロだったと
物凄く緊張して一曲目途中間違えて
演奏を止めたことを覚えていますと
昨日のことにように思い出して語っていた

長女が行った少し前のフェスで
大トリがサニーデイで

我が家の下馬評ではサニーデイは
東京と若者たちの人で
はっぴいえんど日本語ロックの継承者だけど
渋谷系という音楽がかつてあったように
過去の人
すごかった人という位置づけだったから

正直期待していなかったという

ところがどっこい

どうだったフェスと聞くと

サニーデイすごかった
小太りでロン毛で平成ぽんぽこの狸みたいなんだけど
メッチャクチャロックで凄かった
(ああお許しを口のきき方を知らないのです
親の顔が見たい....)

その目でその耳で見て聞いてきたのに
自分の見たもの聞いたものが
信じられないみたいな口ぶりだった

サニーデイ、マジやべえ

え?東京の頃よりも
ロックだってこと?

そう
ロックなの
叫び散らかしてるオジサンのスリーピースなの
本物なの
変わってないけど
どんどんロックに向けて深化してて
現役感がバリバリで半端なくて
昔のサニーデイを蜘蛛の子蹴散らすみたいな
デカイ音でデカい声でニッカニカ笑顔で
最高って歌ってるんだよ

そう聞いていたので

今回のクアトロ35周年の
サニーデイとグレープバインの対バンも
万難を排して馳せ参じたのだけど

やっぱり、スゲエ

東京のサニーデイはもうどっかいっちゃったみたいだけど
もっとロックでもっとエネルギッシュで熱かった
土曜日のカフェで聞くような音楽じゃなくて
ライブハウスという箱で聞くべき音楽

売れてないバンドって自分で曾我部さん言ってた

へ?サニーデイが売れてなかったら
ホントに売れてないインディーズはどうしたらいいんだよって
長女はやっぱり辛口だけど
音楽シーンが勝手に持ち上げたり、下げたりするけれど
サニーデイは自分たちの音楽を粛々と淡々とやり続けていたんだと思うと
感動で涙でお股がジョワンとしてしまった

いいものを今夜もまた見せてもらったと
ロックバンドに向けて最後は拝む

お土産はレコード二十枚
え?笑
そう、クアトロ35周年記念で
チャリティフリマを開催していた
曾我部さんがレコードの福袋を出品していたのを
二袋ゲットした
本当は三袋でも四袋でも欲しかった
無人島に持っていきたい40枚みたいな投稿が流行ってたけど
本棚みたいに
曾我部恵一さんの脳内をのぞき込むようなものじゃん!
どんな音楽が好きなのか
彼の自宅の匂いがするのか
ストーカーみたいだけど笑
てゆうか、ファンなんて一種のストーカーだ

入場前にレコードをゲットしてクロークに預けていたのだけど
そのフリマ担当の方が
どうみてもくるりの岸田さんにそっくりで
おまけに関西弁なもんだから

あの~くるりの岸田さんに似てるって言われませんか?
この間ライブに行ったんで拝見したばかりなんですけど
ソックリです

ははは、僕は岸田さんじゃないけど
でも、よく似てるって言われますね
くるりに(る、にアクセント)

ええ、その発音です
くるり(る、にアクセント)っていってました

うーん
狸につままれた気分
本当は岸田さんがふざけて一日クアトロ店長みたいなことして
フリマで曾我部さんのレコード売ってたんやないかなあと
二週間たってもまだ腑に落ちないモヤモヤを抱えている

レコード二十枚はずっしり重く腕に食い込んで
でも何が入っているんだろうというワクワクの方が勝って
長女がびっくりするだろうなあ喜ぶだろうなと
ホクホク顔で帰宅して
寝ていたのを起こして
曽我部恵一さんのレコードをゲットしたとドヤ顔で語り
大風呂敷を広げてレコードの品評会を
二人で深夜おっぱじめたのはいうまでもない

エヘヘ うちの子になったレコードたち





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